1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ

中高年に増加中!?「眼のトラブル」が重大事故の原因に? 放っておけない「視野障害」とは

くるまのニュース / 2022年8月7日 18時10分

国土交通省が「自動車運送事業者における視野障害対策マニュアル」を策定しました。今回は事業者向けですが、眼のトラブルは一般ドライバーでも起こり得ることです。そこで、どのようなトラブルがあり、どういった症状が出るのかを、実際に視野障害を抱えているドライバーに話を聞いてみました。

■運転に影響が出る眼の疾患とは

 2022年3月に国土交通省自動車局が「自動車運送事業者における視野障害対策マニュアル」を策定しました。これは年々増えていた健康起因事故を予防するための方策のひとつとしてかねてから検討され、ようやく策定にいたったものです。

 まずは運転の機会が多く、利用者の生命や財産を運ぶバスやトラック、タクシーといった自動車運送事業者に向けてマニュアルが作成されましたが、リスクという面では一般のドライバーでも同じ。

 健康上のトラブルに見舞われる可能性は誰にでもあり、それが運転中に起こらないとはいい切れません。

 そもそも視野障害とは一体どういうものなのでしょうか。

 視野障害とは、視野(目の見える範囲)が狭くなったり一部欠けたりする状態(視野異常)を指し、原因は眼の疾患や脳の疾患が多く、一般的に加齢とともに悪化する確率が高くなるとされています。

 唐突に発症して視野に影響が出ることもありますが、原因となる疾患によっては初期・中期には自覚症状がない場合もあり、視力は良いのに徐々に視野障害が進行してしまい、気付かないうちに今まで見えていたものが見えなくっていることも。

 以前と変わらず運転しているつもりで信号や標識を見落としてしまい、重大事故を引き起こしてしまう可能性があるのです。

 事故をおこさないために大事なのが、早期発見と治療の継続です。人間の身体は非常に優秀で、片眼に障害があってももう一方の眼が見えていない部分を補い両眼での視野を維持しようとしてしまいます。そのため、視野障害は症状が進行するまで気付きにくいという特徴があります。

 それにもかかわらず視野障害はいったん進行してしまうと視野を元に戻すことができない場合があるため、まずは早期発見、そして治療を継続して進行を抑制することが重要になってくるといいます。

 自動車運送事業者に限らず、企業や学校では年に1回の健康診断が一般的です。しかし、眼に関する検査は視力検査程度で、視野障害を早期に発見するのは難しいのが現状。

 可能であれば、定期健康診断で「眼底検査」と「眼圧検査」を追加で受診するようにしたいところです。

 万が一、異常があった場合はすみやかに眼科の精密検査を受診すべきだと思われます。

 ちなみに、「眼底検査」は眼の奥の構造を撮影して網膜や血管、神経の状態を診断するもので、「眼圧検査」は眼球に吹きかけた空気の反射から眼球の圧力を測定します。

 健康診断でこれらの検査の扱いがない場合は、眼科での検診や眼科ドックをお勧めします。保険診療ではないため受診機関によって費用は異なりますが、視野障害の疾患は失明につながりかねないことを考慮すると、早期発見とすみやかな治療のためにも定期的に検査を受けるほうが安心です。

■見え方がおかしいと思ったら早急に医療機関の受診を!

 18歳以上の視覚障害者手帳取得者における2018年の調査では、視野障害の原因となる疾患の1位は「緑内障」で28.6%、2位は「網膜色素変性症」で14.0%を占めます。

 どちらも視野が狭くなる疾患で、3位の「糖尿病網膜症」(12.8%)は視界のかすみ、4位の「黄斑変性」(8.0%)は視界の歪みといった症状が多いようです。

見え方がおかしいと感じたら早めに受診を見え方がおかしいと感じたら早めに受診を

 視野障害は初期症状を自覚しづらく早期発見のためには定期的な検査が有効ですが、何もないのに検査に行くというのはなかなか難しいのも事実です。

 では、実際に眼疾から視野障害になった人たちはどういった症状、経緯から発見に至ったのでしょうか。

「職場の健康診断の視力検査で片目だけ視力が落ちていたので、念のため眼科で検査してもらいました」とは、緑内障と診断されたIさん(40代・男性)。

 より詳しく聞くと、運転中に一度だけ視野が欠けたことがあるそうで、ちょっと休憩したら治ったので深く考えなかったのだとか。現在は点眼薬で治療し進行も抑えられているそうです。

「右目の視界のちょうど真ん中あたりがかすんだので『疲れ目かな? 良い目薬でも出してもらおう』と軽い気持ちで眼科に行ったら黄斑上膜という病気でした」と説明してくださったMさん(50代・男性)。

 担当医に「気になる方の目だけでエクセルの表を見てください」といわれ見てみると、真っすぐであるはずの表の一部が歪んで見えたのだとか。

 進行すると手術が必要になるのですが、Mさんはそこまでは至っておらず、経過観察ということで眼底検査、眼圧検査を毎月しているそうです。

「突然、右目の視界がゴミだらけになったんです。飛蚊症っていうんですか?蚊の足みたいなモジャモジャが見えるようになって。それから30分もしないうちに砂嵐みたいになってしまって、これは何かヤバイと慌てて病院に行きました」というAさん(40代・男性)は、網膜剥離になった経緯を教えてくれました。

 症状が出てすぐに診察に訪れたため早期発見でき、幸いレーザー手術だけで症状は改善。「今でも少しだけ視界にゴミは残っていますが、以前の視力まで回復しました」とのことです。

「クルマを運転していて前のクルマが二重に見えるというか、左右の目の映像がひとつにならないような感じで距離感が掴みづらくなったんです。そのころから車庫入れが苦手になってきました」とは、近年話題になっている「スマホ斜視(急性内斜視)」に悩まされているEさん(40代・男性)。

 現在はプリズムレンズの眼鏡で複視を矯正しているとのことですが、あまりに酷くなると手術で目の位置を支える筋の位置を変えなければならなくなるそうです。

※ ※ ※

 ここで紹介した方々は、少しでも様子がおかしいと思ったときにすぐに眼科に行ったため、視野障害の進行を抑制でき、現在も問題なく運転できているそうです。

 本来は定期的な健診で早期発見するのが一番ですが、視界で何か違和感を覚えたら早急に医療機関を受診するようにしましょう。

 治療を早く開始することで視力と視野の低下を抑えるとともに、視野障害を自覚してそれまで以上に安全運転を心がけることが重要です。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください