助手席の「赤い謎の筒」なんのため? 非常時に活躍の「発炎筒」 過去には火災トラブルに!? 正しい使い方とは
くるまのニュース / 2024年1月14日 9時10分
クルマには事故や故障などで停止してしまった際に、他の車や周囲の人に危険を知らせるための「発炎筒」が備え付けられています。トラブルが多発する年末年始などの連休前に覚えておきたい正しい使い方とはどのようなものなのでしょうか。
■発炎筒ってなんのためにあるの?いつ使う?
クルマに必ず備え付けられている発炎筒ですが、その正式名称や使用方法についてよく知らないという人も多いかもしれません。
なんのために備え付けられ、どのような場面で使うものなのでしょうか。
発炎筒の正式名称は「自動車用緊急保安炎筒」です。
運転中に故障もしくは事故などの緊急事態を第三者に対して伝えるために備え付けられています。
例えば、高速道路を走行中にタイヤがパンクした場合や燃料が底をつき動けない場合に発炎筒を使用して後続車に危険を知らせることで、二時的事故を防ぐことができます。
基準値以上の発炎筒の備え付けは、道路運送車両法の保安基準第43条の2で定められており、国土交通省によると非常信号用具を装備していないと整備命令書が発行される可能性があります。
警告を受けたドライバーは、15日以内に非常信号用具を購入し、装備しなければなりません。
従わない場合は、懲役6ヵ月もしくは30万円以下の罰金、もしくは50万円の罰金に科せられます。
また、発炎筒のことを「発煙筒」と思っている人も少なくないようですが、これは間違いです。
夜間等でも視認性を高めるため、「炎」の光で後続車に危険を知らせるものなので「発炎筒」と書かれています。
確かに点火すると煙が発生しますが、炎の光を煙に反射させてより大きく見せるため、煙自体はそんなに多くは発生しません。
そのため、周囲のドライバーは視界を遮られずに危険を察知し、安全に運転できます。
では実際に故障もしくは事故にあってしまい発炎筒が必要になったとき、どのような手順で使えばよいのでしょうか。
はじめに発炎筒を使う前に、必ず周囲に危険物がないかなどの状況を確認し、安全が確保された上で発炎筒を取り出します。
発炎筒は通常、助手席や運転席の足元など緊急時にすぐ取り出せる場所に置いてあります。
次に発炎筒を取り出してキャップを外し、本体を取り出します。
発炎筒を着火する場所は車両より約50m後方で、キャップの上部にある擦り板と本体をマッチの要領で擦り合わせて着火します。
発炎筒の明るさは、ろうそく160本を一気に燃やした明るさと同等である160カンデラ以上です。
この明るさは、昼までおよそ600メートル、夜中では2キロメートルからでも視認できます。
発炎筒を着火すると筒先を自分もしくは他人とは異なる方向に向け、手に持っておくもしくは後続車に轢かれない路肩や路側帯など後続車が視認しやすい位置に置いてください。
発炎筒の使用回数は1回限りなので、使用した際は完全に火を消すために水で消火して一般の可燃ゴミで処分し、すぐに新しい発炎筒を購入しましょう。
※ ※ ※
また2021年1月に福岡県のドラッグストアの駐車場で子供による発炎筒使用が原因の車両火災が起きています。
これを受けて国土交通省は発炎筒の使用にあたって以下の注意喚起をしています。
ーーー
・お子さまには、絶対にさわらせないでください。
・燃料などの可燃物の近くで使用しないでください
・点火は必ず車外で行ってください。また、使用中は、顔や身体に近づけないでください
・トンネル等の煙がこもる様な場所で使用しないでください。
ーーー
過去に国土交通省の担当者は「子どもを車内に残した状態でクルマから離れてしまうと、発炎筒などに勝手に触ってしまい事故へつながる恐れがあります。十分ご注意いただきたいです」と注意を呼びかけていました。
■発炎筒を使用する際の注意点は?
発炎筒を使用する際は、いくつかの注意点を守らなければ、2次被害を引き起こす可能性があります。
発炎筒を使うときの注意事項について、日本交通安全教育普及協会の担当者は次のように答えました。
「まず、交通事故等でガソリン漏れ等が認められる場合は引火の危険性があるので、絶対に使用してはいけません。
また、トンネル内では、発炎筒から発生した煙によって視界不良になり、追突事故等の二次的事故を招く恐れがあるためこちらも使用はやめましょう。
点火する際は慌てず落ち着いて対応し、人には向けないようにします。
点火後の発炎筒は回収時の事故防止の観点からそのまま放置します。
いざというときに焦らないように、日頃から発炎筒がクルマのどこに設置されているか確認しておき、使用方法についても理解しておくことが重要です。
また、一般的には助手席側に設置されていることから、同乗者も事故時に対応できるようにしておくと安心です」
使用期限は注意しておきたい。
また、発炎筒の有効期限については、JIS規格で4年と定められています。
発炎筒の搭載自体は義務付けられていますが、実は車検の項目には有効期限に関する記述はありません。
なので、有効期限が過ぎたものを載せていても、車検に通過できてしまいます。
検査官によっては指摘される場合もあるそうですが、なるべく有効期限は自分で把握できるようにしましょう。
このように、基本的に発炎筒には有効期限が定められていますが、近年ではLED式の発炎筒も販売されています。
こちらは有効期限がなく、10時間以上連続で燃焼することが可能です。使用中は煙も出ないため、トンネル内でも使用でき、使い捨てではなく何回でも使用できます。
※ ※ ※
発炎筒は万が一の事態に備えて装備されており、事故や故障で車が停止した際に他のドライバーへ危険を知らせるために使用します。
車検時には装備されていないと通過しませんが、有効期限は車検項目に入っていないので、自分で期限を把握するようにしましょう。
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