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高圧水素源の「ギ酸」を二酸化炭素から再生

共同通信PRワイヤー / 2024年9月27日 14時0分

正式な表記でご覧になりたい方は、産総研WEBページ

https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2024/pr20240927/pr20240927.html )をご覧ください。


開発の社会的背景

2050年までに温室効果ガス排出をゼロにするカーボンニュートラルな社会を目指す中、水素をエネルギーとして利用する取り組みが進んでいます。この取り組みに向けて、水素を貯蔵し、運搬し、製造するために、国内では高圧および液体水素、そしてメチルシクロヘキサンなどの有機系水素キャリアを利用した技術開発が進んでいます。例えば海外で褐炭から製造した水素を液体水素として日本へ運搬し、燃料電池を利用した車、電車、フォークリフトなどで使う実証試験が行われています。


一方で、例えば高圧および液体水素の場合、貯蔵・運搬には重い容器を使った特殊な設備が必要なため、広範囲に搬送・保存するための安全性やコスト面での課題がありました。


研究の経緯

ギ酸は安定な有機液体で、樹脂容器などを使って室温で安全に貯蔵・運搬が可能であるため、水素を貯蔵・運搬・製造する媒体(水素キャリア)として注目されています。私たちは、ギ酸を水素キャリアとして活用できるシステムを構築するために、圧縮機を使わない高圧水素連続供給法(2015年12月11日 産総研プレス発表)や、フロー式によるギ酸からの連続発電システム(2023年10月20日 産総研プレス発表)といったギ酸から水素を製造・利用する技術の開発を進めてきました。一方で、ギ酸を分解して水素を製造するときには、液化二酸化炭素が生成します。この液化二酸化炭素を回収しギ酸合成に利用することができれば、二酸化炭素を排出せずに、ギ酸を使って水素を貯蔵・製造するシステムの構築が可能になり、水素社会の実現に貢献できると考えています。


ギ酸は工業的には一酸化炭素とメタノールから製造されるギ酸塩を酸性にすることで製造されます。また、研究室レベルでは二酸化炭素と水素からギ酸塩を合成する技術が多数報告されています。しかし、ギ酸塩は水素製造には直接利用できないため、ギ酸に変換する必要があります。これにはコストや手間がかかり、水素キャリアとして利用するには不向きでした。そのため、水素と二酸化炭素から、ギ酸を直接合成する技術が必要でした。今回、HFIPを溶媒に用いることで、回収される二酸化炭素と水素から直接ギ酸を合成する技術を開発しました(図1の赤枠)。

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