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新しいプライバシー保護データ解析プロトコル「local-noise-free protocol」を開発

共同通信PRワイヤー / 2024年11月29日 12時16分

 さらに、本研究では、ダミー数分布として、「非対称幾何分布(Asymmetric Geometric Distribution)」という新しい分布を導入することにより、従来のシャッフルモデルのプロトコルより遥かに高精度な頻度分布の推定を実現しました。DPを満たすための分布として「非対称幾何分布」を用いるのは、本研究が初です。この分布を導入することで、7つのstate-of-the-artの従来プロトコルと比べて、全ユーザのデータの頻度分布とその推定値との平均二乗誤差(MSE: Mean Squared Error)を2-4桁減らすことに成功し、頻度の高いところから低いところまで、高精度な頻度の推定ができることを示しています。


【今後の展望】

 本研究で開発したプロトコルは、プライバシーを強固に保護したまま、高精度な頻度分布の推定を行うことを可能にしています。頻度分布の推定は、最も基本的なデータ解析タスクの一つで、位置情報から人気のある観光地を解析する、あるいはウェアラブル端末から全ユーザの身体活動データの大まかな傾向を解析する、といったユースケースに応用することが期待できます。


【用語解説】

1)差分プライバシー(DP: Differential Privacy):データ解析結果にノイズを加えることで、どのような攻撃者がデータ解析結果を入手しても、元のパーソナルデータに関する情報をほとんど得ることができないことを数理的に保証する安全性指標。プライバシー保護データ解析における安全性指標のデファクト標準として知られ、米国の企業や政府などで導入が進められている。

2) 頻度分布(Frequency Distribution):データを特定のカテゴリー(あるいは区間)に分類し、カテゴリーごと(あるいは区間ごと)の頻度、すなわちデータ数をカウントすることで求めた分布。度数分布とも言う。


【発表論文】

学会名:The 46th IEEE Symposium on Security and Privacy (S&P 2025)

タイトル:Augmented Shuffle Protocols for Accurate and Robust Frequency Estimation under Differential Privacy

著者:村上隆夫(統計数理研究所 学際統計数理研究系 准教授/産業技術総合研究所 サイバーフィジカルセキュリティ研究センター 客員研究員)、清雄一(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻 教授)、江利口礼央(産業技術総合研究所 サイバーフィジカルセキュリティ研究センター 研究員)

DOI:10.1109/SP61157.2025.00019

論文公開日:2024年11月16日


【謝辞】

 本研究の一部は、日本学術振興会科学研究費(22H00521、24H00714、24K20775)、科学技術振興機構AIP加速研究(JPMJCR22U5)、科学技術振興機構CREST(JPMJCR22M1)の助成を受けて実施されました。


 


関連URL:https://kyodonewsprwire.jp/release/202411290828

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。詳細は上記URLを参照下さい。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

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