コラム凡語:岩手と東京
京都新聞 / 2020年7月27日 16時0分
「ここはばいきんの巣だべさ。それが地方へ伝染して来るわけだ」―。昭和のミステリー小説を読んでいたら、どきっとする言葉があった▼岩手から捜査で上京した刑事たちが上野駅で降りた場面。東京は一段と油くさくなったとも書いている。1970年代、ごみごみした大都会にはそんな言われ方もあったようだ(藤本泉「時をきざむ潮」)▼政府の観光支援事業「Go To トラベル」で、新型コロナウイルスの感染が再拡大している東京は除外された。東京の人が悪いわけではない。コロナの巣のように思われたなら気の毒だ▼一方で岩手が感染者ゼロのままなのは驚く。人口密度が低く、人口移動も少ない。いろいろな面で「密」の東京と対照的なのだろう▼諸外国と比べて日本の感染者や死者の数が少ないのは何らかの理由があるとされ、京都大の山中伸弥教授は「ファクターX」と呼んだ。岩手にはファクターの巣があるのだろうか。手洗いやマスク着用をしっかりやるなど、まじめな県民性を挙げる声もよく聞かれる▼読みかけたミステリーも実直な刑事が主人公だ。それでも先月、4市町村の教育委員会が県外からの転入生だけに2週間の登校自粛を求めていたとのニュースがあった。岩手のまじめさに学ぼうと思うが、行きすぎはよくない。
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