「自転車のルーツ」発明者を知っていますか? 「偉業伝えたい」と無縁墓移転や復元した車体展示 滋賀・彦根の寺

京都新聞 / 2020年9月6日 17時0分

本堂前に移転し、偉業を伝える説明板を添えた久平次の墓(彦根市中央町・長松院)

 自転車のルーツとされる三輪車「新製陸舟奔車(りくしゅうほんしゃ)」を発明した彦根藩士・平石久平次(くへいじ)時光(1696~1771年)の偉業を広く伝えようと、菩提寺の長松院(滋賀県彦根市中央町)が敷地奥にあった無縁墓を本堂前に移し、説明板を設けた。境内では復元した車体を展示し、「地元の新たな観光資源になれば」と期待している。

 寺などによると、久平次は200石の奉行で和算や天文学に優れ、自身の天文図による緯度・経度を通じて彦根の位置を正確に測定。300冊以上の書物を出版したという。

 彦根市図書館所蔵の久平次の遺著「新製陸舟奔車之記」によると、1729(享保14)年に現在の埼玉県本庄市の村人が舟のような形で陸を走る車を発明。当時の8代目将軍吉宗に持参されたいきさつと、自身が見聞した情報を元にして書いた図面を記す。

 これに添付されたもう1枚の図面が、刺激を受けた久平次が考案した新製陸舟奔車だ。ペダルで後輪を回し、操縦用のハンドルで前輪の向きを変える仕組み。当時としては独創的な案と一部の国内研究者に評価されている。「自転車の始祖」とされるドイツやフランスの品より早期だったとの説もある。

 一方、関東に移されていた多くの史料は関東大震災で焼失。長松院の檀家の中でも久平次を知る人は少なかった。今年は久平次の250回忌にあたり、手塚紀洋住職(48)が7月に無縁墓を移し、その前に三輪車の図面と説明文を刻んだ石板を建立した。さらに新製陸舟奔車の復元品(長さ2メートル、幅1メートル、市図書館所蔵)を借りて今月1日から境内で展示を始めた。10月下旬には関係者と250回忌法要を営む。

 手塚住職は「滋賀は自転車の琵琶湖周遊で盛り上がっており、それらを彦根から後押しするきっかけになれば」と話す。復元車は12月1日まで展示する。

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