コラム凡語:核禁条約と京都
京都新聞 / 2020年10月27日 16時0分
1951年7月、京都駅前の丸物百貨店(当時)で「総合原爆展」が開かれた。戦後の反原爆運動の先駆けといわれている▼京都大の自治会主催で、広島・長崎の惨状を伝える瓦や写真を展示、放射線や爆風の広がりをパネルで示した。被爆した京大生らの証言や手記を集めた冊子の後記に、こう記している。「原爆体験者の心からの願い、叫び、怒りと悲しみを全ての人々に訴える」▼核兵器禁止条約の批准が50カ国・地域に達し来年1月に発効する。被爆者の叫びが、多くの国に届いたと喜びたい。京都原爆展の3年後、ビキニ水爆実験に反対する声が広がり、大きな運動に発展していったことが条約につながったと言っていい▼核禁条約の実現に奔走する非政府組織「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)に3年前、ノーベル平和賞が贈られたが、広島や長崎の被爆者と手を携えての受賞だ。条約に「ヒバクシャ」という言葉が入った意味は重い▼ところが、日本政府は条約に冷たい。核保有国と非保有国の「橋渡し役」として核廃絶へ現実的にアプローチするというが、実際は「核の傘」の下で米国の顔色を見るばかりだ▼核抑止論に支配された世界に、核禁条約は風穴をあけたのではないか。もっと「心からの願い」が多くなれば、現実は変わる。
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