過疎化の町の議員選「欠員出さないのが精いっぱい」 無投票で終了、将来の議論もできず 

京都新聞 / 2020年11月4日 19時15分

7枚のポスターが貼られた笠置町議選(定数8)の掲示板。直前に立候補を決めた杉岡議長はポスター制作が間に合わなかった(10月20日、同町笠置)

 10月27日告示の京都府宇治田原町議選(定数12)は無投票で決した。1週間前の同府笠置町議選(定数8)も無投票だった。身近な立場で住民の声を代弁する町議の選挙だけに、住民が「町の将来について議論できなかった」と残念がる一方、立候補者を探した関係者からは「欠員を出さないのが精いっぱい」と苦悩の声が上がった。

 「議会を熟知する人が辞めて、なり手もいない。今後の議会運営に頭を抱えた」。2期目の当選を果たした宇治田原町議会の谷口整議長(66)はそう語る。今回、ベテラン議員ら5人が引退。欠員が定数の6分の1を超えると実施する再選挙もささやかれた。

 10月初旬の立候補予定者説明会には、計10陣営が出席。欠員だけは避けたいと、「2人を探す動きが活発化した」と谷口議長は語る。

 町議選が近づくと、各地域では地元役員を担った人を擁立し、農業などの住民も名乗りを上げる。しかし、現実は高齢化で地元役員さえ決まらない。若い世代は会社員が多く、町議との両立も困難。今回4期で引退する垣内秋弘さん(75)は「地域で議会に人を送りつつ、町を知る意欲的な自営業の人も議員になるという形が崩れている」と指摘する。

 町議会では2000年から8年間で、18人の定数を現在の12人に。15年には議員報酬を2割増の24万円とし、人材確保への思いがにじむ。しかし、「効果が出ていない」(垣内さん)。谷口議長は「今回の選挙は欠員を出さないのが大前提。それ以上、人を見つける余裕はなかった」と吐露する。

 28年ぶりの無投票に、ある地元関係者はこう強調する。「なり手不足は進む一方だが、住民は町議に身近な問題解決を期待している。もっと互いに顔を合わせて関係性をつくれば、議員の大切さや魅力は伝わる。まずはそこからでは」

 笠置町議選は10月20日に告示された。同日午後2時ごろ、3期で引退を決めていた現職の杉岡義信議長(73)が町役場を訪れ、立候補を届け出た。定数ちょうどの8人目。厳しい表情を少し緩ませ、「定数を守れたことを『良し』としなければ…。現職の責任として欠員は出せない」。

 事前審査を済ませたのは7人のみ。新人の立候補が立ち消えたことを知らされ、告示前日、4期目を目指すことを決めた。

 笠置町の人口は1263人(10月1日現在)と府内最小で、65歳以上が半数を占める。杉岡議長は「若い人が立候補しやすい環境を次の4年でつくる必要がある」と危機感を募らせる。

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