野党共闘を阻む京都特有の「強い共産」 立民に根強いアレルギー、源流は半世紀以上前に

京都新聞 / 2020年11月25日 10時0分

京都の立憲民主党の幹部ら(京都市内)

 衆院議員の任期が来年10月で切れる。日本政治は1年以内の解散・総選挙を意識して既に動き出している。新型コロナウイルスの感染拡大状況や経済情勢、菅政権の支持率などさまざまな変数が、政権選択の時を左右する。中でも選挙構図に大きな影響を与えるのが、連勝を続ける与党に対抗する野党共闘だ。京都でも模索は始まったものの、特有の「壁」が立ちはだかっている。

■立民「京都では組めない」 共産の申し入れを拒否

 「我々は応じるつもりはありません」。今月5日、立憲民主党京都府連会長の泉健太(衆院京都3区)は、地方議員や支持団体幹部に電話やメールで説明を繰り返した。この日、共産党府委員会が急きょ会見を開き、次期衆院選での野党共闘に向けた協議を立民府連に申し入れたことを明らかにしたからだ。

 立民府連幹事長の田中健志が共産側から申し入れの文書を手渡されたのが4日。立民側は「水面下の働きかけ」と考えていたが、翌日に公表した共産の動きに反応せざるを得なかった。8日に京都市南区で開いた常任幹事会でも共産からの申し入れについて議論し、改めて「京都では組めない」との意見でまとまった。

 常任幹事会の終了後、泉は記者団に「現時点では申し入れに応じられない。国民民主党や社民党との友好関係がある」と強調し、会場を去った。京都における「非共産」を強く意識した発言だった。

■国会では野党共闘、でも京都では…

 京都で根強い「非共産」だが、全国では様相が異なる。昨年の参院選1人区では、野党は共産を含めて候補者を調整し、埼玉や岩手の県知事選でも共闘を進めた。しかし、今年2月の京都市長選で旧立民と旧国民民主党の両府連は、公明党と自民党府連が推す現職に相乗りし、共産推薦候補と戦った。

 旧立民と一部を除く旧国民が合流して誕生した現在の立民は衆参150人以上を擁し、野党第1党として共闘を主導する。その立民で党ナンバー2の幹事長を務める福山哲郎(参院京都選挙区)は今月10日、国会内の定例会見で「国会での共産を含めた野党共闘は誰が見ても菅政権に向かって対峙(たいじ)している」と強調した。

 一方で「京都では(共産と)選挙で戦っている」とも述べ、野党共闘が進展しない理由に選挙区事情を挙げた。しかし立民府連のベテラン幹部はこう語る。「政治家にとって選挙は付きもの。共産と敵対するのは選挙だけが理由ではない。蜷川府政にさかのぼる」

■なぜ、蜷川革新府政の「後遺症」が今も

 1950年の京都府知事選で初当選した元京都大教授の蜷川虎三は、7期28年にもわたって府政に君臨した。当初は社会党公認だったが、当選を重ねるにつれ、支持政党の枠組みは徐々に変化。54年は社会と共産の「社共共闘」に、58年には自民推薦も得たが、蜷川は60年代後半から共産と政策的に協調することが多くなった。

 共産は蜷川革新府政をバックに地域や業界団体などにくまなく支持を広げ、府委員会は全国の共産でも際だつ存在となった。社会党府連の元幹部は悔しげに振り返る。「蜷川府政でまさに、庇(ひさし)を貸して母屋を取られた。共産は相手を利用しながら浸透していく巧みさを持っている」

 現在でも共産は府議会と京都市議会で自民に次ぐ第2会派に位置し、府内の地方議員数は112人と立民府連の9人を大きく引き離す。立民のある議員は「共産と手を組むと、どこまで浸蝕されるか分からない」と打ち明け、今も警戒感が引き継がれていることをうかがわせる。

 こうした過去が野党共闘のハードルとなっている。さらに立民など旧民主党系を支援する連合京都の存在も大きい。

■連合VS総評、労組の対立も影響

 先月18日に下京区のホテルで開かれた立民府連の設立大会。来賓あいさつをした連合京都会長の廣岡和晃は「京都は共産陣営が強い特殊な地域だ。『非自民非共産』を結集する必要がある」と強調した。東京・永田町で立民と共産の距離感が以前より近づきつつあることに地方の立場からくぎを刺した。

 1990年に結成された連合京都は運動方針の違いなどから、知事選などで共産推薦候補を推す京都総評と長年対立している。各種選挙で推薦を出すに当たり、「共産からの組織的協力を得ない」ことを条件としているほどだ。

 現在の野党共闘の動きを巡っても、連合京都幹部は「共産と選挙で協力するなら、応援しない」と言い切る。労働組合の加入率は年々低下しているものの、連合京都には約9万4千人の組合員がいる。選挙運動においても実働部隊としての経験が豊富で、その存在感は決して小さくはない。

 簡単にはぬぐいがたい「共産アレルギー」と、支持団体連合京都の反発。京都の立民が表立って共産との共闘に踏み出すには、高いハードルがある。「共産が必勝を期すのは国対委員長穀田恵二を擁する京都1区だ。我々が擁立しなければ、暗黙で共闘が成立する。じたばたしなくていい」。立民府連幹部は共産府委からの申し入れ文書を見て、つぶやいた。
=敬称略

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