社説:日中関係 外交バランス問われる

京都新聞 / 2020年11月26日 16時5分

 米中対立の間で日本外交のバランスが問われよう。

 中国の王毅国務委員兼外相が来日し、菅義偉首相や茂木敏充外相らと相次ぎ会談した。

 日中間で新型コロナウイルス感染症の収束に向けた連携を強化するとし、制限しているビジネス関係者の往来を30日に再開することなどが決まった。

 9月の政権発足後、菅氏と中国要人の会談は初めてだ。早い段階で中国側から打診されたという。

 中国は、米国との対立激化をにらみ、その同盟国の日本と関係改善を目指す姿勢を示して間合いを詰めてきたといえよう。

 日本にとっても中国は最大の貿易相手国であり、菅政権として中国との経済的なつながりも重視する立場をにじませた形だ。

 一連の会談では、ビジネス往来の再開に加え、日中経済関係の進展に向けて閣僚級の「ハイレベル経済対話」を来年に開催することなども申し合わせた。

 相互協力の拡大は経済的な利益のみならず、アジア地域の安定化にも重要といえる。

 同時に、中国側の接近は、米国主導の「対中包囲網」を阻むため、同盟国間にくさびを打ち込む思惑があるのは明らかだろう。

 その切り札が巨大な経済力である。今月には、日本や韓国、東南アジア諸国など15カ国で署名した「地域的な包括的経済連携(RCEP)」に参加。周辺国との「仲間づくり」を一歩進めた。

 さらに中国の習近平国家主席は、米国が離脱した環太平洋連携協定(TPP)への参加を「積極的に検討する」と表明した。

 米国は、バイデン次期政権でも反対世論からTPPなどへの早期復帰は困難とされる。その「米国不在」を捉え、国際的な枠組みやルール作りで主導権を狙う中国の動きを注視する必要がある。

 日中間に横たわる懸案や立場の隔たりを見過ごしにはできない。

 沖縄県・尖閣諸島周辺では、中国公船が領海侵入を繰り返している。菅氏が中国側に懸念を伝えて対応を求めたのは当然だろう。

 南シナ海を含め海洋進出での一方的な現状変更の試みや、香港の民主派弾圧など、中国の強権的な姿勢に国際社会の視線は厳しい。コロナ対応で延期された習氏の国賓来日問題が議題に上がらなかったというのも無理あるまい。

 対中圧力を強める米国と連携しつつ、中国に大国としての適切な対応を促す難しいかじ取りが菅政権に求められている。

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