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社説:共通テスト再編 教育現場の体制整えよ

京都新聞 / 2021年3月26日 16時0分

 大学入試センターが、2025年以降に実施する大学入学共通テストの出題教科・科目案を発表した。現在の6教科30科目を再編し、新科目として「情報」を追加した7教科21科目とする。

 22年度から実施される高校の新学習指導要領に対応し、現在の中学2年生からが対象となる。文部科学省は今夏までに正式決定する。

 今年始まった共通テストでは、英語民間検定試験の導入見送りなどで受験生が振り回され続けた。教育現場や生徒を混乱させないよう、制度設計には万全を期すべきだ。

 今回の再編は、出題科目のスリム化を図るのが特徴だ。現在6科目ある地理歴史では、新学習指導要領で必修となる「歴史総合」「地理総合」に日本史や地理など探究系の選択科目を組み合わせて3科目に集約する。

 公表されたサンプル問題は、グラフや図表など多数の資料が使われ、防災学習や「持続可能な開発目標(SDGs)」を題材として取り上げている。入試改革の狙いに掲げたように、知識量だけでなく深い考察力を問う出題となるよう工夫を重ねてほしい。

 新設科目「情報」はデジタル社会の進展に合わせ、プログラミングやデータ活用の能力を問う。03年度に高校で必修化され20年近く経過しているが、専門性を持った担当教員が足りないなど戸惑いの声も現場から上がっている。

 文科省の調査によると、現在情報を教える高校教員約5千人のうち、正式な免許を持つのは8割で、残りは原則3年の臨時免許や特例で教える免許外担任だった。

 首都圏では担当教員のほとんどが正式免許を持っている一方で、臨時または免許外の教員が多い地方では、入試対策まで踏み込んで指導できるかどうか危ぶまれる状況もあるという。

 多くの生徒が受ける共通テストの新科目とする以上、国は教育機会の公平性を担保せねばならない。教員養成や高校のIT環境の整備にも責任を持つ必要がある。

 入試改革で懸案となっている共通テストへの英語検定試験と記述式問題の導入は、文科省の専門会議で議論が続いている。科目再編に合わせて今夏にも一定の結論を出す見通しだが、多くの大学が導入に否定的な見解を示している。

 科目変更や新制度の導入は、生徒や高校、大学が十分に理解し、準備できることが不可欠だ。現場の意見をよく聞き、見切り発車の過ちを繰り返してはならない。

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