1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

社説:東芝買収提案 国益損わない判断下せ

京都新聞 / 2021年4月9日 16時5分

 東芝が、英投資ファンドからの買収提案について、検討することになった。

 合意すれば、株式公開買い付け(TOB)が行われる。その買収額は、2兆円を上回る規模となる見通しだ。

 買い付けが完了すると、株式は非公開となる。現在大株主の別の投資ファンドとの対立は解消し、速やかな経営判断ができるという。

 東芝は年明け、東京証券取引所1部に復帰したばかりである。非公開となれば、復帰の意味は失われ、株主の声が届かない。

 企業統治に、支障を来すのではないか。

 米国での原子力発電事業で巨額の損失を抱え、経営が悪化した東芝は、増資を行い、これを海外のファンドが引き受けた。

 大株主となったのは、旧村上ファンド系などで、先月の臨時株主総会で、自らの提案を可決に導いてしまうほど、東芝の経営に影響力を強めた。

 6月の定時株主総会では、車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)が再任されない可能性も、ささやかれている。

 このため、買収提案は、「物言う株主」の口封じ策だ、との見方が出ている。

 気になるのは、車谷氏に、買収を提案した英投資ファンドの日本法人会長を務めた経歴がある、という点だ。

 同氏が、東芝よりも英投資ファンドの利益を優先するかもしれない、と考える人もいるはずだ。

 提案を受け入れるなら、これらの疑念に対し、きちんと説明する必要があるだろう。

 東芝は、原発事業などの国策を担ってきた企業とされる。

 海外資本による買収が行われる場合には、経済分野での安全保障を確保するため、昨年改正された外為法に基づく政府の審査を受けなければならない。

 原発事業に加え、半導体大手キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)の株式の約4割を保有していることも、審査の対象となりそうだ。

 経済産業省は、米中対立の激化で、経済安保上の重要な戦略物資となった半導体技術が、買収に伴い、海外に流出する事態を懸念している。

 買収提案について、東芝は定時株主総会までに、一定の方向性を示すとみられる。諸般の事情を勘案し、適切な判断をしてもらいたい。政府は、国益を損ねないよう厳格に審査すべきだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング