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社説:米アフガン撤退 和平実現に責任果たせ

京都新聞 / 2021年4月17日 16時5分

 バイデン米大統領が、アフガニスタン駐留米軍を9月11日までに完全撤退させると表明した。

 期限は、アフガン進攻の理由とした米同時多発テロから20年の節目に当たる。長引く駐留で国民の間に厭戦(えんせん)気分が漂っていることも背景にある。

 ただ、米軍撤退がアフガン情勢の安定化につながるかどうかは見通せていない。反政府武装勢力タリバンが攻勢に出て治安が悪化する懸念もある。

 米国は、「米史上最長の戦争」が何をもたらしたかをしっかりと検証し、アフガン政府とタリバンの停戦による和平の実現に最大限努力すべきだ。

 米軍の駐留を巡っては、トランプ前政権が昨年2月、タリバン側と合意を結んだ。米国は、タリバンがテロ組織と協力しないなどの約束を守れば今年4月末までに同盟国とともに完全撤退させると表明していた。大統領選で自身の外交成果としてアピールする狙いもあったとみられている。

 合意後、タリバンは米軍への攻撃を控えているが、アフガン政府との戦闘は継続している。政府とタリバンの恒久停戦協議も停滞している。

 アフガンのガニ大統領は「米国の決定を尊重する」と撤退を受け入れる考えを示している。だが、国内には国際テロ組織アルカイダや過激派組織「イスラム国」(IS)が残っており、米軍の後ろ盾を失えばテロが増加する恐れがある。

 これまでにアフガンでは米兵2200人以上が死亡し、約2万人が負傷したとされる。バイデン氏は「どんな条件を満たし、あと何人が犠牲になればよいのか。答えがないならとどまるべきではない」と述べ、現地の状況にかかわらず無条件で撤退する姿勢を明確にしている。

 一方、米国内では野党共和党を中心に「内戦を招きかねず無責任」などの批判が相次いでいる。現地住民から「米軍の空爆でタリバンをしのげている」などとして駐留の継続を求める声もある。

 アフガンでは、米軍などの攻撃で紛争が激化し、多くの民間人も犠牲となった。その事実を忘れてはならない。

 今後、米国はアフガン政府とタリバンに対し、両者による暫定政権を樹立して新憲法を制定し、選挙で新政権に移行するよう働きかけを強めるとみられる。

 和平協議を進めて停戦に合意させることが、紛争に関与した国としての責務だ。

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