1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

社説:児童虐待最多 子どもの異変見逃すな

京都新聞 / 2021年8月31日 16時0分

 全国の児童相談所が2020年度に児童虐待として対応した件数が20万5029件(速報値)となり、初めて20万件を超えたことが厚生労働省のまとめで分かった。

 前年度からの増加幅は縮小したが、1990年度の統計開始以来30年連続で過去最多を更新した。

 子どもへの暴力や育児放棄が、深刻さを増していることが改めて浮き彫りになった。

 専門家からは、新型コロナウイルスの感染拡大により、家庭で過ごす時間が増えたことで虐待のリスクが高まる一方、虐待が潜在化しているとの見方も出ている。

 厚労省は「コロナとの明確な関連性は見られない」とするが、なぜ増えているかの分析が必要だ。

 自治体や関係機関などと連携し、相談体制や虐待防止対策の強化に取り組んでほしい。

 20万件を身体的虐待や育児放棄など四つの類型で見ると、心理的虐待が最も多く12万1千件余りだった。前年度より1万2千件以上増え、全体の約6割を占めた。

 心理的虐待には、子どもの前で家族に暴力を振るう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」も含まれる。

 内閣府の統計では、男女間のDVの20年度の相談件数は約19万件(速報値)で、前年度に比べ1・6倍に急増している。

 家庭内のDVが増え、子どもの心理的虐待の増加につながっているのではないか。DVと合わせた対応が求められる。

 虐待の通告では、警察からが約10万3千件で半数に上った。

 全国的に警察と児童相談所の連携が進められており、虐待発見につながっているといえよう。

 一方、幼稚園や学校からの通告はわずかに減った。厚労省は、昨春の一斉休校などが影響した可能性はあるとしている。

 子どもが日中多くの時間を過ごす学校などは虐待を発見しやすいとされるが、「マスクで表情がわかりにくく、異変に気付きにくい」と指摘する識者もいる。

 相談業務の担当者からは、感染防止を理由に、訪問や面談を拒まれるという声もあがっている。

 コロナ禍で、虐待の実態が見えにくくなっている。

 周囲の大人たちは、今まで以上に子どもたちの様子を注意深く見守ることが重要だ。

 困った時に子どもたちが駆け込める安全な居場所も、地域で工夫しながら確保する必要がある。

 わずかなSOSも見逃すことがないようにしたい。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング