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社説:米英豪が新安保 軍拡競争の懸念ないか

京都新聞 / 2021年9月18日 16時0分

 米中対立が、軍事面でも深まるのではないか。

 米国、英国、オーストラリアの3カ国首脳が、新たな安全保障の枠組みを構築すると発表した。

 各国の頭文字から「AUKUS(オーカス)」と名乗り、米英豪の結束によってインド太平洋地域の平和と安定を図るという。

 この地域で覇権的な動きを強める中国に、対抗する狙いがあるのは明らかだ。

 新しい枠組みについて、バイデン米大統領は、サイバー分野、人工知能(AI)、量子技術など先端領域で協力し合い、「急速に増大する脅威に対し、最新の防衛能力を確保する」と強調した。

 日本政府は、中国への抑止力が高まると評価している。

 すでにできている日米豪とインドでつくる4カ国の枠組みの「クアッド」は、経済協力や、ウイルス対策など民生分野での連携を目的としている。

 米英豪の軍事的な枠組みが加われば、「対中シフト」がさらに強力になるからだ。

 ただ、オーカスのもとで取り組む具体策の一つには、米英がオーストラリアの原子力潜水艦導入を、技術面で支援することが挙げられている。これには、大きな懸念が示されそうだ。

 原潜は、航行能力において優れており、中国が軍事拠点化を進める南シナ海などでも、有効な探査や警戒を可能とするだろう。

 一方で、保有する米英、フランス、中国、ロシア、インドの6カ国は、いずれも核兵器の保有国であり、原潜がミサイルの発射台ともなっている。

 それだけに、米国の技術は機密性が高く、外国に供与された例は英国しかない。

 バイデン氏は「核武装した潜水艦ではなく、動力に原子力を使う通常兵器だ」と主張し、モリソン豪首相も「核兵器を保有する意思はない」と述べている。

 しかし、この説明に納得する人ばかりではあるまい。

 米国の研究者からは、原潜導入が「世界の核不拡散体制の深刻な抜け穴として悪用される恐れがある」との声が上がっている。

 オーカスに対して中国は、「排他的な小グループで、人心を得られない」としたうえで、原潜技術の移転について「地域の平和と安定を破壊する」と批判した。

 中国が過剰に反応すれば、軍拡競争にもつながりかねない。ことさら緊張を高めるような行為は、慎むべきであろう。

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