1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

社説:米中と気候問題 駆け引き超えて協力を

京都新聞 / 2021年9月25日 16時5分

 国連総会がニューヨークで始まり、バイデン米大統領は、地球温暖化対策を巡って発展途上国への資金支援を倍増させる意向を表明した。

 中国の習近平国家主席もビデオ形式で演説し、温室効果ガス排出量の多い石炭火力発電所について、海外で新たな建設を中止することを明らかにした。

 二酸化炭素(CO2)の2大排出国の米中が、脱炭素化を加速させる新公約を示した形だ。10~11月に英国で開かれる気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に向け、対策を強化する国際交渉の弾みとして期待されよう。

 米中は安全保障や経済の覇権争いを激化させており、協調関係への影響も予断を許さない。ただ、温暖化防止は人類的課題であり、大国間の駆け引きを超えて国際協力を広げねばならない。

 バイデン氏の新公約は、気候変動対策を柱として、米国の国際協調路線への回帰をアピールする姿勢の表れともいえよう。

 4月に自ら主催した気候変動のオンライン首脳会合で途上国支援額を2倍にすると表明したが、今回さらに倍増を打ち出した。年間1兆2千億円規模になる。先進国が約束していた支援額の確保・上積みにつなげたいところだ。

 習氏も、海外での石炭火力新設の中止に加え、途上国によるCO2排出が少ないエネルギー開発を支援する意向を示した。

 積極姿勢の背景には、「気候危機」への対策強化を求める世界の厳しい視線があるためだろう。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は先月、産業革命前と比べた世界の平均気温の上昇幅が2021~40年の間に1・5度を超える可能性が高まったと警鐘を強めた。

 世界気象機関(WMO)も、台風や洪水、干ばつなどの気象災害の死者が一昨年までの50年間に約200万人に上るとした。災害の激甚化は多くの人が感じている。

 一方、米中対立の影響も見え隠れする。

 米国は8月下旬、気候問題担当のケリー大統領特使を訪中させ、CO2削減の追加対策を求めたが、中国は2060年までに排出実質ゼロを目指す従来方針を変えていない。

 中国側は「(両国関係の)全体的な環境と切り離せない」とし、軍事・経済面で包囲網を強める米国をけん制している。

 地球規模の気候変動対応に負う責任を米中は自覚し、国際協力を先導するため歩み寄るべきだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング