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社説:強制送還違憲 入管の人権侵害を断罪

京都新聞 / 2021年9月29日 16時5分

 難民認定申請を退けた翌日に強制送還したのは、裁判を受ける権利を保障する憲法に違反する―。

 先週、東京高裁が下した判決は、在留資格がないとされた外国人に対する人権侵害とまで踏み込んでおり、画期的だ。出入国在留管理庁の裁量乱用への歯止めにもなろう。

 入管当局を巡っては、施設に収容中のスリランカ女性が不当な扱いを受けた末に死亡するなど、外国人の人権をないがしろにする事案が絶えない。

 今回の違憲判決を、入管行政への警告と受け止め、不透明な難民認定の判断、組織の在り方を抜本的に改める機会にすべきだ。

 判決によると、難民に認定されなかったスリランカ人の男性2人が2014年、異議申し立ての棄却を告知され、その翌日にチャーター便で送還された。

 驚くのは、入管当局は40日以上も前に棄却を決定しながら、告知していなかったことだ。告知後6カ月以内なら不認定の処分取り消しを求める裁判が可能なため、「訴訟提起前に送還すべく、あえて告知を遅らせた」と高裁は厳しく指摘している。

 裁判阻止だけでなく、集団で送還するために同様の手法が使われている、と難民支援関係者は問題視している。実際に2人が乗ったチャーター便には30人以上の送還者がいたという。そのうちの1人も前日に告知され、訴えた裁判で今年1月、国に賠償を命じる判決が出ている。

 こうした入管行政の背景にあるのは1978年の「マクリーン判決」とされる。在留延長を却下された米国人が訴えた裁判で、最高裁は「外国人の基本的人権保障は在留制度の枠内で与えられる」と国の裁量を認め、訴えを退けた。

 在留資格のない外国人には人権がないかのように受け止められ、それが入管による収容や送還などに表れているのではないか。しかし、日本は国際人権条約や難民条約に加わり、最高裁の判例は時代遅れとも言われる。人権の観点から難民問題と向き合う国際潮流とかけ離れているように見える。

 入管庁と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の間で7月、難民認定制度に関する協力覚書が交換された。UNHCRはこれまで難民問題に取り組む専門部局の設立を求めており、意見をしっかりと受け止めるべきだ。

 入管の在り方を見直すには、専門家や難民支援者など第三者の目が要る。在留資格のない人にも人権があるとの前提はもちろんだ。

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