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単身高齢者の入居困難、20件超拒否され 年金暮らし、家賃負担重く

京都新聞 / 2021年10月28日 7時0分

年金を頼りに一人暮らしを続ける女性。家賃負担の重さに不安を抱えている (京都市右京区)

「高齢者を紹介するのは難しい」。京都市右京区の女性(71)は、市内の不動産店が告げた一言にがくぜんとした。

 約40年連れ添った夫は2年前に亡くなった。持ち家で息子夫婦と暮らしていたが今年1月、家を出ることを決めた。「すぐに新居は決まるだろう」。そう考えていたが現実は違った。

 片足に持病があり、エレベーター付き物件をインターネットで探し、不動産店に連絡を取った。「そこは大家さんが受け入れてくれない」「1人暮らしは何かあったら困る」-。見つけた二十数戸は高齢を理由に全て拒否された。

 家賃の安い公営住宅への入居も考えた。しかし、住み慣れた地域にはなく、諦めた。物件を探して約1カ月半。ようやく知人の不動産店が紹介した1DKのアパートに入居できた。

 収入は国民年金と夫の遺族年金から介護保険料が天引きされて月約14万円。6万5千円の家賃は重くのしかかる。生活費を支払うと残りはほぼゼロ。食費は1日千円以内に抑えている。「切り詰めても、家賃だけはどうにもならない」

 医療費も悩みの種だ。月ごとの自己負担分は、高額療養費制度で上限が設けられている。国は医療費削減を目指し、70歳以上の上限を2017年から引き上げた。女性の上限額は1万8千円(年間上限額は14万4千円)。足の通院を思うと、将来の不安は募る。「医療費まで増えると、もっと家賃の安い家に引っ越さないと」とつぶやく。

 高齢単身世帯は25年に751万人に増える見通しだ。国の18年度の調査では賃貸住宅で暮らす高齢単身世帯は33・5%。住宅に困窮する高齢者は増えていく。

 国土交通省が主管する公営住宅は本来、困窮者のための住まいのセーフティーネットだが、役割を果たしきれていない。住みやすい物件で募集が出ても、倍率は高い。一方、全国214万戸の約7割が築30年以上で、空室が出るなど公営住宅は二極化している。京都市営住宅(約2万3千戸)は4割近い約8800戸にエレベーターがなく、約5千戸は浴室がない。

 政府は家賃基準を応能応益負担などに変え、世帯収入の壁で成人した子世代と暮らしづらい場合がある。阪神大震災後の復興住宅で高齢者と貧困世帯ばかりの高層ビル群が生じたように、公営住宅が困窮者ばかりだと、世代間交流も多様性もない街になってしまう。

 国は17年の改正住宅セーフティーネット法で、高齢者や低所得者ら住宅確保要配慮者を支える制度を開始。入居を拒まない物件情報がサイト上に集約され、登録数は全国約62万戸(京都府約1万2千戸、滋賀県約1万戸)に上る。しかし、即入居物件は限られ、国や自治体から家賃補助を受けられる物件は1%未満だ。

 「家賃支援の制度は乏しい。年金受給者の予算に合った物件を探すのは苦労する」。西京区の不動産会社「たてものがかり」社長の山口傑さん(53)は打ち明ける。同社は福祉事業所などと連携し、高齢者の住む場所をあっせんしてきた。

 入居後の見守りやサポートを担う居住支援法人も増えつつあるが、孤独死のリスクがあるとして、高齢者の入居を断る大家もいるという。山口さんは指摘する。「家を貸す側のデメリットを解消する支援策も必要だ。そうしなければ入居者を受け入れてくれる大家は増えないだろう」

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