社説:トンガ沖の噴火 自然の脅威への備えを
京都新聞 / 2022年1月18日 16時0分
自然災害の脅威を改めて認識させられた。
南太平洋・トンガ沖の海底火山で大規模な噴火があり、約8千キロ離れた日本の太平洋沿いでも最大1メートルを超える津波を観測した。
気象庁は当初、津波の心配はないと発表していたが、その約5時間後の16日午前0時すぎに津波警報・注意報を発令する事態となった。
火山噴火で潮位が上昇するのはまれで、何が起きたかはまだはっきりしない。警報・注意報は最大約14時間にわたって出され、住民たちは真夜中の避難を迫られた。
経験の乏しい現象に直面してもすぐに身を守る行動に移せるよう、日ごろの備えを徹底したい。
通常、津波は地震などで海底の地形が隆起したり沈んだりすることによって起きる。今回の噴火で気象庁は当初、トンガと日本の間にあるサイパンなどの観測点で大きな潮位上昇がなかったことから日本への影響は小さいと判断した。しかし、通常の到達時間より早く大きな潮位変化を観測し、一転して警報などを出した。
沿岸部では漁船が転覆したり、流されたりする被害があり、交通や大学入学共通テストの実施にも影響が出た。
謎が多い今回の潮位変化について、専門家は、噴火で空気が震動する「空振」と呼ばれる衝撃波がもたらした可能性を指摘している。衝撃波が海面を押し下げ、沿岸部の潮位を引き上げたという。
地震による津波に比べて、さらにまれな火山噴火の津波はデータの蓄積が少なく、科学的な知見が確立されていない。研究機関や気象庁は、メカニズムの解明を進め、適切な予報に役立ててもらいたい。
避難指示の対象は、計8県の約22万9千人に上った。夜間だったことに加え、地震のように気が付きやすい状況ではなかった。サイレンや放送などによる周知が行き届いたかどうか検証すべきだ。
政府の中央防災会議は、日本海溝・千島海溝沿いを震源とする巨大地震が冬の深夜に発生すれば、東日本大震災の10倍近くの死者が出ると予測したばかりだ。
被害のほとんどは津波によるもので、積雪による移動困難や避難時の低体温症などに警鐘を鳴らしている。避難経路や備蓄品をいま一度、確認しておくことが求められる。
世界にあるとされる約1500の活火山のうち110は日本にある。多様な災害を想定し、対応することが必要だ。
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