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「駆け出す前に書き出せ」 思考を深める“メモ”の力と可能性

lifehacker / 2021年7月6日 16時0分

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ビジネスパーソンであれば、誰もが日常的に行っている「メモ」。ここ数年で「バレットジャーナル」というノート術が世界的にブームになるなど、国内外で「メモの力」に注目が集まっています。

この「深化するメモ術」特集では、「考える力」や「思考力」がビジネスパーソンの必須スキルとされる中、その大きな助けとなる「メモ」の効力やその活用法について紹介していきます。

第1回は、手帳評論家の舘神龍彦さんが登場。手帳というアナログツールの専門家の立場から、紙のメモとデジタルのメモのメリットをそれぞれ紹介してもらい、「メモの力」を紐解いていきます。今回は前編です。

舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)

profile

デジアナリスト・手帳評論家。主な著書に『凄いiPhone手帳術』(えい出版社)、『意外と誰も教えてくれなかった手帳の基本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『手帳と日本人』(NHK出版新書)など。「マツコの知らない世界」(TBSテレビ)「HelloWorld」(J-WAVE)はじめテレビ・ラジオ出演多数。ISOT2021文具PR委員。文具の製品開発、講演等を行っている。twitter:@tategamit

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デジタル全盛の時代だからこそ、メモの力が際立っている

「手書き」の重要性が見直されるきっかけとなったのは、アメリカ発のノート術「バレットジャーナル」が世界的にヒットしたことが一つの要因として挙げられるでしょう。

「バレットジャーナル」とは 、ニューヨーク在住のデジタルプロダクトデザイナーであるライダー・キャロルさんによって開発された、ノートによるスケジュール管理システム。

基本的にはスケジュールとタスクを管理するためのメモ術で、ノートとペンだけで始められる、極めてシンプルなものです。

デジアナリストで手帳評論家の舘神龍彦さんはバレットジャーナルに始まるメモブームの背景をこのように分析します。

デジタル全盛の時代に、フォーマットの決まっていないノートと紙での方法の優位性を再評価したのが、バレットジャーナルです。決まったレイアウトもなければ書く内容も自由。

基本的な記法や使い方の案内こそあれ、それ以外についてはユーザー自身が規定して書ける自由度がありました。

フォーマットから外れたことはできないデジタルの記録媒体が世界中を覆い尽くす現代で、自分で好きなように記入のルールを構築できる「ノート」の魅力が再発見されたのではないでしょうか。

一方、日本では50年以上前から「ノート術」本が存在し、出版文化としても一つのジャンルが築かれていました。

その原点となるのが、1969年出版の『知的生産の技術』(岩波新書、梅棹忠夫著)。その後も、『あなたを天才にするスマートノート』(文藝春秋、岡田斗司夫)、『ゼロ秒思考』(ダイヤモンド社、赤羽雄二)、最近では『メモの魔力』(幻冬舎、前田裕二)がベストセラーになりました。

メモ術やノート術の文化が発達してきた日本でも、最近はグーグルカレンダーのようなスケジュール管理アプリを使う人が増えて「紙離れ」が進んでいます。

デジタル全盛の時代だからこそ、アナログのメリットが際立ち、改めてメモの力が注目を集めているのかもしれません。

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「アクセスの早さ」「一覧性の高さ」が魅力

メモをとるには主に、ノートやペンを使うアナログの方法と、スマホのメモ機能などを使うデジタルの方法があります。

デジタルツールはソフトウェア上に定義された以上のことはできません。それが想像力の枷となる場合があります。

一方、手書きのノートなら、文字、絵コンテ、グラフなどさまざまな表現が可能です。ノートはいわば、“ソフトウェアが定義されていないハードウェア”なのです。

そのノートに「時間軸」というOSを入れたものが手帳と言えるでしょう。

アナログのメモとデジタルのメモのそれぞれのメリットを舘神さんは以下のように分析しています。

「アナログメモ」のメリット

●アクセスの早さ

ノートや手帳を開くだけですぐに書けるため、思いついたときにすぐに思考やアイデアを整理できる。

●一覧性の高さ

性質の異なる情報を1ページにまとめることができ、それらを一覧できる。

●イニシャルコスト(初期費用)の安さ

ノート(メモ帳)とペンさえあれば、すぐに始められる。

●情報を破棄しやすい

買い物リスト、一過性のTO DOリストなど、保存する必要がないメモは紙のメモに書くのが適している。デジタルメモに入力すると、削除しない限り残ってしまい、検索に引っかかってノイズとなることも。

●自分が書いたものだと認識できる

筆跡から自分が書いた文字と認識できる。人によってはメモを取ったときの感情なども伝わり、単なるフォントであるデジタルメモよりも情報が多く含まれる。

「デジタルメモ」のメリット 編集…再加工が容易にできる 送信…メールなどで送信できる 複写…劣化せずにコピーできる 検索…ファイルの種別、ファイル内のキーワードで検索できる 蓄積…場所をとらず大量に保存できる

さらに、クラウドの登場によって2つのメリットが加わります。

偏在…端末があればどこからでもアクセスできる 共有…複数人でデータを共有・編集できる

スマホアプリのメモなら音声入力もでき、デバイスによってはデータを読み上げる機能がついたものもあります。どれもアナログのメモではできないことです。

しかし、便利さゆえのデメリットもあると舘神さんは指摘します。

デバイスを操作していると、Webブラウザやアプリを使っていなくても、SNSなどの通知によって集中力を削がれてしまうことがあります。メモを参照・入力する際のアクセス性も、アナログより低くなります。

もちろん、デジタルの便利な機能はアナログには実現不可能です。しかし、弱点とされがちな検索機能については、簡単なテクニックで補うことができます。

例えば、ノートの見開きごとにテーマを設定して書き分け、日付を記入して書き記すことで検索性を上げることができます。アナログのデメリットを補って余りあるアクセス性の早さ、一覧性の高さ、手軽さがアナログのメモの最大のメリットなのです。

「駆け出す前に書き出せ」。アナログメモは思考整理に役立つ

メモをとる(書き記す)ことには、どんな効果があるのでしょうか? 舘神さんは「自分が今抱えている根本的な課題や問題の洗い出しにあたって非常に有用」と話します。

メモを書くということは、限りなく主体的になる行為です。自分の頭の中というのは、分かっているようで実はしっかり認識できていないことも多いもの。

考えを文字にして、自問自答して思考を整理することで、自分が何に関してどう考えているのか、明確に自覚することができます。“泣く子と自問自答”には勝てないのです。

どんな時間の使い方をしているのかを自覚するきっかけとしても、メモは非常に役立ちます。

例えば、作業するときに、その作業は何のために行うのかを考え、作業の目的と具体的な数値目標を手帳の予定欄の周辺に記入してみるのです。作業の質が変わってくるでしょう。

他にも、「抱えている在庫を売るにはどうしたらいい?」「自分に本当に必要なPCのスペックとは?」などを自問自答してメモに書くことで見えてくることがあります。

「どんなことが起きたときに自分は心地良いと感じるのか、逆に不快と感じるのか」を書くことも効果的です。「カフェのこの席に座って仕事をすると不快になりやすいから、次はこっちの席に座ろう」などと、メモがきっかけで行動を変えること(行動変容)ができるのです。

やることがたくさんあるようなときは、まず“駆け出す前に書き出せ”です。やることリストをメモに書き、それぞれの詳細を書いてから行動に移すとムダがありません。

パッと思いついたアイデアを記したり、ぼんやりとした思考を書き出して整理したりするには、アクセス性の高いアナログのメモのほうがデジタルよりも適しているのです。

「その程度のことならば、頭の中で整理できる」という人もいるかもしれません。実際には、脳の中のワーキングメモリーは一度に7つ前後のことしか記憶できないそうです。

また、それらを覚えることに脳の能力が割かれてしまいます。それよりは、書き出して可視化すれば、操作可能になる。アナログツールはその点、実に手軽でスピーディーです。

デジタルにもアナログにも、それぞれの良さがあります。メモの性質に合わせてデジタルとアナログを使い分けることがポイントになってくるようです。

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後編では舘神さんのメモ活用術、おすすめのノートやメモアプリをご紹介します。

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