「卒アル写真」でほんとうに未来はわかるのか? 大ヒットの心理学本を検証

リテラ / 2015年1月7日 12時0分

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 アメリカの心理学者マシュー・ハーテンステインによる『卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学』(森嶋マリ訳/文藝春秋)は、本国のみならず日本でもかなりの売れ行きを示しているようだ。確かに、なんとも刺激的なタイトルではある。「卒業アルバム」といった小さな事柄で、その後の人生の全てがわかってしまうのか......?

 どうせ日本人向けに付けられたキャッチだろうと思いきや、原題も同じ意味合いのもの。
『"THE TELL" The Little Clues That Reveal Big Truths about Who We Are』

 下手な訳だが、「ささいな手がかりが示す、みんなの"正体"」という感じになるだろうか。少し長めの文章で断言する「新書っぽいタイトル付け」スタイルに、洋の東西は無いようだ。

 ともあれ、肝心なのは内容だ。筆者は初めにこう述べている。

「本書のテーマは人が見せる一瞬の態度を観察して、物事をどのぐらい予測できるかということだ」

 見た目の印象や仕草といった「ささいなこと」によって、どれだけの非言語的なサインが出されているか、あるいは周囲の印象がどれだけ変わるのかといった点に着目。「排卵日にはゲイがわかる」「嘘をつく奴の顔はここが違う」など様々なケースを、データ分析に基づいて紹介している。さすが大学で教鞭をとる心理学者の本というか、脚注の資料はかなりの数が提示。街中に溢れる、ほぼ主観で書かれたトンデモ本と一緒にするわけにはいかないだろう。

 タイトルに即したケースを見ると、筆者は様々な卒業アルバムに載った写真を数百枚も採集。写った笑顔の度合いを数値化し、その後の人生を調査してみたそうだ。なんとも興味深い実験だが、果たしてどんな結果がでたのか。本当に「皆の将来がわかった」のだろうか?

「笑っている人は結婚が長続きする確率が高い」

 ふむ、なるほど。さらに他の研究者の実験も併せて、筆者はこう結論づけている。

「笑っている人は、しかめ面の人に比べ、満ち足りた人生を送り、人とのつながりも豊かだという結果が出ている」

 ......あれ? いやいや、それって当たり前のことでは? 別に反論もないけど、わざわざ指摘するほどのことなのか?

 ここでこの本への不満をぶつけると、おしなべて主張が「当たり前すぎる」のだ。確かにデータをある程度の数以上集めたり、キチンとした実験や集計を行い、他の研究結果も参照しているのだろう。しかし、そこから導かれる結論は「いや、それくらいの常識、皆わかってるよ」というものばかり。例えば......

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