アディダスの靴で転倒し「重症」提訴の争点はどこに?

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年4月11日 17時15分

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靴底を不安定にすることで筋力向上などをうたった、アディダス製のトレーニングシューズ「リーボック イージートーン」をご存知ですか?

歩くだけで筋肉が鍛えられ、姿勢が良くなったり骨折防止になったとしたら画期的で素晴らしい商品ですよね。ところがこの商品を使用して負傷したとして横浜市の男性がアディダスを提訴したそうです。

今回は、この訴えの争点がどういったポイントになりそうか、弁護士の私が推定してみたいと思います。

問題になっている靴は、底面のつま先とかかとの部分に空気の入ったパットをつけてあえてバランスを悪くすることによって、ふくらはぎやヒップの筋肉を鍛えるという性質のものだそうです。

製造物責任法では、商品が通常有すべき安全性を欠いており、それによって生命または身体にかかわる損害が生じた場合に、製造業者はその損害を賠償するという規定になっています。ですので、今回の裁判の争点は、靴が通常有する安全性を欠いていたか、また店側がその事実を購入時に告知していたか、という2点であると考えられます。

今回の靴はもともとバランスが悪いものですので、バランスが悪いという事実は安全性を欠いているということにはならないでしょう。もっとも、外見からだけでバランスが悪いということを判断することは困難でしょうから、そうなると、販売店の方で、この靴はもともとバランスの悪いものであり、使用方法次第では転倒の危険がある、という説明をしっかりとしていれば問題ありませんが、そのような説明が一切なく、購入した人は通常の靴であると誤信して購入し、その結果転倒したような場合は損害賠償が認められる可能性はあります。

もっとも、履いた瞬間に「普通と違う」ということがわかるのであれば、購入者はその靴の使用を控えるか、販売店に確認する等の措置を採るでしょうから、そのような措置を採らずに漫然と履き続けて転倒したような場合は、賠償請求は認められにくいと思われます。仮に認められたとしても大幅な過失相殺をされてしまう可能性が高いです。

なお、過去の事例として、自転車のハンドルが折れて賠償が認められたというケースはありましたが(賠償額は20万円)、運動靴が問題になったケースは調べた限りでは見つかりませんでした。

ですので、裁判所としてもおそらく初めてのケースでしょう。判断が待たれるところです。

*参考:横浜の男性がアディダスを提訴、シューズで転倒、重傷/神奈川:ローカルニュース : ニュース : カナロコ — 神奈川新聞社

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