もし小保方さんが嘘をついていたら罪に問われるのかを検証してみる

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年4月16日 17時10分

写真

小保方さんが記者会見を開き、論文捏造問題に対して「過失だった」と反論しましたが、論文を調査した理研は捏造や不正などを認めています。

もしもの話ですが、科学論文が捏造で嘘の発表を意図的にしたと仮定した場合、その行為自体は法律上問題がないのかどうかを検証してみましょう。

■嘘をついたら詐欺になる?

仮に、科学論文に嘘の内容を書いた場合、「詐欺ではないか。」と思う方もいるかと思います。

刑法には詐欺罪が定められています。人を欺いて財物を交付させたり、財産上不法の利益を得た場合に成立します(刑法246条)。

多くの場合は、科学論文の内容が嘘であったとしても、その嘘を信用されて財物の交付を受けたり、財産上の利益を与えられたりすることはなく、詐欺罪は成立しないでしょう。

■人に迷惑をかけたら業務妨害になる?

偽計を用いて人の業務を妨害した場合、業務妨害罪が成立します(刑法233条)。判例は、本罪の性格を危険犯と考えているとされており、他者の業務を妨害する危険性があれば本罪の成立を認めています。

科学論文に嘘の内容を記載されていると、論文内容を検証しようとしたり、論文内容を前提に実験を行ったりされることが考えられます。また、論文を掲載した雑誌等の媒体は、嘘を書かれた論文への対応をしなければなりません。

しかし、具体的に業務を妨害され得る者を特定することは容易ではないでしょうし、嘘を発表する人には、他者の業務を妨害するつもりはないでしょう。

一般的な場合には、刑法犯である業務妨害罪を認めるのは相当でないように思われます。

■嘘は最も大切な信頼を失ってしまう

科学論文とは、研究した結果などについてまとめたものであり、影響力の大きな論文は長年にわたり多数の研究者に参照され、引用されます。

科学論文に書かれた内容は、発表後に検証され、ときには誤りが発見される場合もあります。しかし、意図的に嘘を発表することは、論文内容の誤りを指摘されるだけではなく、研究者としての信用をも失ってしまいます。

これは、社会的な影響力が大きい者の場合だけではなく、中小の会社からの研究発表や、学生による研究発表でも違いはありません。

場合によっては、信用を失うことに加えて、懲戒免職や退学処分とされ、会社や学校にいられなくなる場合も考えられますし、会社や学校から損害賠償を請求されることも考えらなくはありません。

■罪に問われることはないとしても

科学論文に嘘を書いたことについて、刑法をもって対応することには違和感があります。刑罰をもって対峙することが科学の発展に資するとは言い難いと考えます。

しかし、目先の利益にとらわれて研究結果に嘘を混ぜてしまえば、研究者としての将来を失うことは十分にあり得ますし、嘘を混ぜる行為が望ましくないことは間違いありません。

研究成果を発表する場合には、少しでも良い結果を見せようとしたり、手近にある真偽の不確定なデータを利用したくなる誘惑があるのかもしれません。しかし、もしそのような誘惑が生じたら、将来の研究や社会における科学の発展のために、ぜひ踏み止まって欲しいと思います。

シェアしたくなる法律相談所

トピックスRSS

ランキング