高齢者の万引き増加は「認知症」も絡む深刻な社会問題

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年4月16日 14時0分

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独り暮らしの高齢者が増加するにつれ増えているのが、高齢者による万引きです。最も多いのは、スーパーなどでの食料品や日常品の万引きです。

高齢者による万引きの理由は実に様々です。もちろん、受給している年金の額が乏しく、生活苦に陥って万引きをする高齢者もいます。一方、経済的には困窮していないはずなのに万引きを繰り返すケースもあります。

この大きな要因となっているのが、認知症です。

本人は会計をしたつもりであるにもかかわらず、実際にはレジを通っていなかったというケースもあれば、年金が振り込まれる預金口座の通帳やキャッシュカード、印鑑などを紛失してしまったために、生活費を手元に置くことができず、切羽詰まった状況に陥って万引きをするケースなどもあります。

独り暮らしの高齢者については、地域の民生委員などが中心となって、いわゆる「見守り活動」が行われていることもありますが、残念ながら、全ての独り暮らし高齢者をフォローしきれるわけではありません。

また、独り暮らしの高齢者は、兄弟姉妹や自分の子らと疎遠になっているケースも少なくありません。このような状況の中で、抱えている問題を周囲に認識してもらえないまま、万引きを繰り返すようになってしまうのです。

■根本的な問題解決が必要

このような高齢者は、結果として刑事処分を受けずに釈放されたとしても、根本的な問題が解決されない限り、再び万引きを繰り返す危険がかなり高いといえます。そして、事件を繰り返すことによって、いずれは実刑判決を受け、服役しなければならない、服役後はさらに社会との接点がなくなり、さらに万引きを行う危険が高まる、という悪循環に陥ることが懸念されます。

対応が難しい高齢者の万引きですが、地域のスーパーや大型商業施設、警察と社会福祉事務所や地域包括支援センターとの間の通報・連携システムを制度として構築することが必要です。

先ほども述べたように、万引きを繰り返す高齢者については、困窮・認知症による判断力低下という問題が表面化していないケースが非常に多くあります。

事件が発覚した場合には、商業施設から警察を介して、あるいは直接に社会福祉事務所や地域包括支援センターに対象となる高齢者を引継ぎ、生活保護の受給の手続や介護認定を受けるための手続を速やかに開始できるようにするのです。また、商業施設が問題に気付かずに警察に高齢者を引き渡した場合にも、警察署から社会福祉事務所等に連絡して対応を求めることが必要です。

高齢者の万引きは、必要な行政サービスを受けられない高齢者が多数存在していることを顕著に示す現象です。今後ますます独り暮らしの高齢者が増加することが予想される昨今において、行政は、「高齢者が繰り返さない」ための施策を早急に打ち出すべきでしょう。

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