東本願寺別邸に落書きで「逮捕」施設により罪の違いは?

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年5月5日 21時3分

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米国籍の無職男が、京都・東本願寺の別邸で国の名勝に指定されている施設にスプレーで落書きをしたとして器物損壊容疑で逮捕されました。

社会全体で護っていくべき名勝に心ない落書きをするとは、いくら「ストレスがあった」とはいえ許されるものではありません。

今回は、この事件から派生して、一般の公園と、国の名勝と、富岡製糸場も登録されるかもしれない世界遺産とで、落書きをしたときの罪に違いはあるのかどうか、見ていきたいと思います。

■一般の公園の施設に落書きした場合

この場合、他人の物を損壊しているので器物損壊の罪に当たります。

器物損壊の罪に当たる場合、3年以下の懲役か30万円以下の罰金か科料という処罰を受ける可能性があります。

また、公園が都市公園法の「都市公園」に当たる場合、10万円以下の科料を科せられることもあります。

■国の名勝に指定されている施設に落書きした場合

名勝とは、庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の土地で日本にとって芸術上または観賞上価値の高いもののことです。

文部科学大臣や都道府県の教育委員会が名勝として指定した土地については、器物損壊罪による保護だけでなく文化財保護法の保護もあります。

文化財保護法は、名勝の現状を変更したり、名勝の保存に影響を及ぼす行為をして滅失・毀損・衰亡させたりした者に対し、5年以下の懲役か禁錮、30万円以下の罰金に処罰すると規定しています(文化財保護法196条1項)。

■世界遺産に登録された施設に落書きした場合

世界遺産とは、「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて世界遺産リストに登録された人類が共有すべき顕著な普遍的価値を有すると考えられる遺跡、景観、自然等の物件です。

日本では、世界遺産に登録された施設であることを理由に保護しようとする法律は見あたりません。

結局、世界遺産が保護されるかどうかは、重要文化財、史跡、名勝として文化財保護法等で保護されているかどうかによります。

富岡製糸場の建物も、国が重要文化財に指定していますので、世界遺産に登録されようがされまいが文化財保護法で保護されることになります。

文化財保護法は、重要文化財を損壊したり、毀損したり、隠匿したりした者に対し、5年以下の懲役か禁錮、30万円以下の罰金に処罰すると規定しています(文化財保護法195条1項)。

以上のように対象により取り扱いが少し異なりますが、対象が何であれ勝手にスプレーするなんて、決して許されることではありません。

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

*参照:東本願寺別邸の壁に落書き容疑 米国籍の男を現行犯逮捕:朝日新聞デジタル

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