体臭や口臭がクサすぎることは犯罪か?弁護士が解説

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年5月1日 21時1分

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電車に乗ったら横の人がめちゃくちゃ臭う……なんてことはありませんか?

電車内ならまだしも、同僚など常に行動をともにする人が臭う場合などは大問題になりかねません。これからの季節、汗をかくことも多くなり普段より気になる「臭い」は法律ではどのように扱われているのでしょうか。くさすぎることは犯罪となりえるのでしょうか?

■罪に問われることはまずない

体臭・口臭に限らず、実は、臭い(匂い)そのものを規制する法律はありません。

例えば、廃棄物処理法は廃棄物処理の観点からルールを定めたものですし、化粧品について規制している薬事法も化粧品の匂いではなく、成分に着目した規制となっています。

刑法や軽犯罪法、都道府県の迷惑防止条例にも体臭・口臭の発生行為を禁止する規定はありません。

臭いそのものが規制されていなくとも、故意に他人に悪臭を嗅がせた結果、その人が病気になったり、一時的にでも目まいを起こして倒れたりすれば、理論的には刑法の傷害罪が成立する可能性があります。

ただし、傷害罪が成立するためには、故意に、相手が病気や目まいになるほどの悪臭を嗅がせる必要があるので、現実的には体臭・口臭が原因で傷害罪で立件されることはまずないでしょう。体臭・悪臭は本人の自覚がない場合が多いため、故意がなく、相手がそれによって傷害を負うことも実際には考えられないからです。

■不法行為が成立する可能性

刑事で犯罪が成立しなければ、民事上の不法行為にもならないかというと、そうではありません。民事の不法行為の成立範囲は、刑事の犯罪よりも広く、犯罪行為でなくても、民事上不法行為と評価され、損害賠償の対象となることはありえます。

民事の不法行為は、刑事の犯罪と違って行為類型が厳密に定められていません。そのため、例えば、隣人がゴミ屋敷で年中強烈な悪臭が漂ってくるような場合は、引っ越し費用や慰謝料を請求できる可能性があります。

ただ、臭いが民事上の不法行為となるためには、少なくとも普通の人の受忍限度を超えるような悪臭が継続して発生していることを裁判で立証しなければならないので、同僚や電車で隣に居合わせた人の体臭・悪臭程度では、民事上の不法行為が成立することもまずないでしょう。

ちなみに、体臭や口臭が臭いことだけを理由に会社が従業員を解雇することはもちろん無効ですので、会社に口臭や体臭が臭い上司等の解雇を訴えても無駄です。

口臭や体臭が原因で法的責任を問われる可能性はほぼないといえますが、臭いが原因で印象が悪くなったりすることはありますので、これからの季節、皆様気をつけましょう。

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)

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