タクシーが道に迷ったり遠回りしても全額払わないとダメ?

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年7月5日 21時1分

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いつもタクシーで目的地に向かう際、同じ経路を通っているのに、今回突然経路を変更され、挙句の果てに到着したらいつもより料金が高かった、などという経験はないでしょうか。

このような場合は、なんとなく差額分を返金してもらいたいと考えるのは当然のことでしょうが、遠回りされて料金が通常より高くなった場合に、果たしてタクシー会社に差額分の返金を求めることは法律上できるのでしょうか。

■運送営業とは何か

そもそもタクシー営業のことは法律上「運送営業」といいます。

また、タクシー会社と乗客の間には「旅客運送契約」という契約が成立しています。旅客運送契約では、運転手は乗客に損害が発生しないように注意しなければならず、もし不注意で(もちろん故意でも)乗客に損害が発生した場合には、その損害を賠償する義務を負うと定められています。

ですので、故意に遠回りしたり、目的地や道をうっかり間違えて遠回りしたりした結果、料金が通常より高額になった場合には、運転手の故意または過失で乗客に損害を与えたことになるので、その差額はタクシー会社に請求できるものと考えられます。

■悪気がなく少しだけ遠回りになった場合

微妙なのは、明らかな故意または過失がない場合です。

いつも通っている経路と違うが、それほど遠回りでもない経路を通り、結果的に金額が高くなってしまったようなケースです。心情的にはこの場合でも差額を返金してもらいたいと思われますが、このケースはどうなのでしょうか。

乗客が経路を指定していれば別ですが、特に経路を指定しない場合、目的地までどの経路を通るかということは運転手にある程度の裁量があります。ここに行く場合に道を通らなければならないという絶対的な決まりはありません。ですので、目的地までいくつもの経路があり、それぞれ同じような距離であるならば、基本的には運転手はどの道を通っても構いません。

また、若干遠回りだとしても、例えば通常の経路は工事中であったり、時間帯によっては通常の経路だと大渋滞したりといった理由がある場合には、遠回りの経路を通ることも必ずしも違法ではありません。それゆえ、このような場合は、仮に料金が通常より増えたとしても差額を請求することは難しいでしょう。

とはいうものの、いくら運転手に裁量があるといっても、大幅に遠回りをして料金が著しく増加するような場合(例えば高速道路に載ったりするなど)には、仮に合理的であったとしても、当然客に経路を説明し、了解を求める必要があります。

結局のところ、遠回りが違法かどうかについては、遠回りする合理的な理由があるかどうかで決まるものと考えてよいでしょう。

もっとも、最近は「ご指定の経路はございますか。」というように、経路を聞いてくれる運転手さんもいらっしゃいます。

このような料金トラブルを避けたいのであれば、タクシーに乗車した際、運転手さんにきちんと経路を伝えておくことが大切なのではないでしょうか。

*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)

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