地震予知で人々を不安にする行為に違法性は?

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年8月5日 12時2分

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ツイッターやブログなどで「地震予知」の情報を発信している人達がいます。

3.11を予想していたなどと話題になったブログなどもあるようで、ツイッターでは地震予知をする度に数百リツイートされるなどの影響力がある人も一定数います。

しかし、予知を外した場合は、嘘情報を大勢に向けて発信しているということになります。人によってはパニックに陥ったり、不安に駆られるということもあるかもしれません。この様な行為に違法性はあるのでしょうか?

■刑事上の違法性は原則ない

まず、刑事上の違法性について検討してみます。

刑事上問題となりそうなものとして、偽計業務妨害罪、脅迫罪が考えられます。

しかし、たとえ、公開された地震情報を信じる人が増え、大地震の噂が広まった結果、社会的な混乱が起きた場合であっても、初めから商業施設や公共交通機関の業務妨害を意図したものでない限り、犯罪の故意、予知情報公開行為と業務妨害結果の因果関係がともに欠けているため、偽計業務妨害罪が成立する可能性はかなり低いでしょう。

次に、ある特定の人に向かって、「お前を地震で死なせる」と脅したような場合には脅迫罪が成立する可能性がありますが、今回は、特定の人に向かって地震の被害をもたらすと告げているわけではないため、脅迫罪が成立することもないでしょう。

結局、誰かに被害結果を及ぼそうとの故意もしくは過失が考えられないため、刑法上の犯罪が成立する余地はほぼないでしょう。

特定の人に対して地震情報を提供するという形をとらずに、ブログやツイッターで予知情報を公開することは、原則として罪にならないものと考えられます。

■民事上の責任も原則として発生しない

民事上の損害賠償責任についても、原則として生じないものと考えられます。

地震予知情報は無料で公開していることが多いと思いますが、公開情報を見た人と予知情報提供者には何ら契約関係がないため、不法行為でなければ賠償義務は発生しません。

ところが、刑事上の責任と同様、民事上も、予知情報公開行為について、他人に損害を与える意図があるとはいえないため、仮に、何らかの被害が生じても、不法行為の故意過失がなく、責任を負わないと予想されます。

また、費用を徴収して有料で地震予知情報を提供した場合であっても、「予知がはずれた場合は賠償(返金)する」などの特約がない限り、予知が当たることまでは保証しない予知情報提供のみが予定された契約として、やはり賠償責任は負わないでしょう。

■天気予報と同じ

以上みてきたように、基本は必ず当たることを保証しない任意の情報提供(一種のブログにおける意見表明)にとどまるため、公開された予知情報を信じて予定を変更するなど実害が生じても、刑事や民事上の責任を問うことは極めて難しいといえます。

法的には、予報がはずれても責任を問えない民間事業者が提供する天気予報と同じように考えてよいでしょう。

信じるかどうかも含めて、基本は自己責任となりますので、注意しましょう。

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)

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