JASRACの発言が波紋 クラウドサービスに保存した音楽データにも著作権料は発生するべきか

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年7月30日 21時2分

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先日、文化庁が行っている文化審議会著作権分科会の小委員会が開かれました。

それに出席した方が、委員の発言をTwitterで実況中継をし、その内容が話題になっています。

ここで話題になっていたのはロッカー型クラウドサービスというものでした。これは、クラウド上にデータを保管していろいろな端末で利用できるサービスのことであり、たとえばDropboxとかOneDriveなどがこれに当たります。

ここでの委員の発言には、「人間の背丈よりも巨大なサーバーに個人の領域を遙かに超える容量の蓄積するもので到底私的な利用とは言えない。」など、本来著作権と全く関係のないサーバーの大きさについて言及するものもあり、委員の理解のほどが窺い知れるというものもあるようです。

また、JASRACはクラウドサービスに保存した音楽ファイルにも著作権料が発生するとし、サービスの運営者は包括契約をして使用料を払うべきであるという見解を示したようです。

このような考え方が正当なのかどうか、検討してみたいと思います。

■私的利用とは何なのか

音楽ファイルをコピーすることは著作権侵害になり得るわけですが、私的利用であれば著作権侵害とはなりません。

私的利用として認められるのは、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する」場合です。

ただ、実は要件はこれだけではなく、「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器」が使われていないという要件も必要です。

これは昭和59年改正により追加されたもので、レンタル店等の店頭に設置された高速ダビング機を利用して、借りたCDをその場でコピーすることに対応してできたものです。

自働複製機器とは「複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器」と定義されています。そのため、クラウドサービスは定義上これに当たるという考え方もあるようです。

しかし、クラウドサービスと一言でいっても、いろいろな種類のサービスがあり一括りにして考えるべきではないですし、レンタル屋の店頭に自働複製機器が置かれるとCDが売れなくなるという理由で作られた規定であるという沿革も考慮するべきではないかと思います。

そこで、個人でクラウドサービスを利用している人が、自分か家族などで個人的に楽しむ範囲でクラウドサービスを利用する場合であれば、クラウドサービスを自働複製機器に当たると解釈するべきではないのではないかと考えます。

ちなみに、法人には私的利用という概念が当てはまらないので、音楽ファイルをクラウドサービスにアップロードしたら、著作権侵害になる可能性が高いです。

この委員会は今後のあり方を決めるものであるため、今後どのような議論になっていくのかはまだ分かりませんが、このように、クラウドサービスに保存した音楽ファイルにも一律に著作権料が発生すると考えることには無理があるのではないかというのが感想です。

*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

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