「罰せられた方が得」 労働基準法が守られない本当の理由

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年8月12日 21時2分

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労働基準法は、労働者保護の観点から様々な規定を定めており、同規定に反した場合には罰則が科されるものもあります(労働基準法117条以下)。身近なものだと、残業代未払については「30万円以下の罰金」が科される旨規定されています。

しかし、現実には、残業代をきちんと支払っている会社は少数で、多くの会社がサービス残業をさせている実態があります。

どうして、上記のように刑罰が科されるのに、労働基準法を守らない会社が多いのでしょうか。

●労働基準法違反を知らない経営者もいる

その理由として考えられるのは、(1)そもそも労働基準法違反について刑罰の定めがあることを知らない、(2)労働基準法に違反しても実際に刑罰が科される場合は少ないことを知っているという2点を挙げることができます。

(1)については、従業員数の少ない中小企業のワンマン経営者に多いパターンで、驚くことに労働基準法の存在自体を知らない経営者がいるんですね。こういう会社は、顧問の社会保険労務士や税理士から指摘されると、素直に従って是正することがよくあります。

問題なのは、(2)の方です。(2)の通り、労働基準法に違反しても刑罰が科せられることは非常に少ないのが実情で、労働基準法を守らない方が会社としては人件費が節約できるという悪い現実があるからです。さらに、上記の通り、残業代未払いの場合の罰則は「30万円以下の罰金」ですから、仮に刑罰が科されても30万円で済んでしまう(残業代を支給しない方が会社にとって経済的なメリットは大きい)ことも少なからず影響しています。

なお、罰金を支払ったからといって従業員に対する残業代支払義務(債務)が免除されるわけではありませんが、残業代は2年間の消滅時効にかかりますので、全ての従業員に対して過去数年分の残業代の支払を強制されるわけではなく、残業代をきちんと支給している場合と比べて、コストがかからないのが実態であることを付言しておきます。

また、労働者から訴訟を提起されて判決に至った場合、残業代のみならず付加金(労働基準法114条)の支払を命じられることもありますが、実際には、訴訟提起して残業代を請求する労働者は多くないこと、また、訴訟を提起されても判決まで至らずに和解で解決する場合が多いこと(和解の場合、付加金分は通常考慮されません。)も「残業代を支払わない」という会社の判断に影響していることは否めません。

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