携帯を持ち去った山下智久さんはなぜ「器物破損罪」に問われたの?

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年10月24日 12時7分

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六本木の路上で、携帯電話で撮影されそうになり、それを防ぐために山下さんが携帯を持ち去り、警察は器物損壊罪として検察庁に書類を送付したというニュースがありました。

通常であれば、他人の物を奪えば、窃盗罪(10年以下の懲役)になります。ではなぜ、山下さんの場合は窃盗罪にならず、器物損壊罪(3年以下の懲役)となったのでしょうか。

●なぜ窃盗罪ではないのか

他人の物を奪うことは、法律用語では奪取と言います。しかし、奪取だけでは窃盗罪が成立しないとしています。なぜでしょうか?

判例によれば、奪取してさらに奪取した物を自分のために使うとかあるいは奪取した物を売却して利益を得ようとした場合にのみ、窃盗罪が成立するとしています。このように、奪取した物を自分のために使おうとしたり売却して利益を得ようとすることを不法領得の意思と言います。

つまり、不法領得の意思がない場合は、窃盗罪が成立しないと判例は考えます。

山下さんは、自分や友人が撮影されないために携帯を奪っただけです。携帯を自分のために使おうとかあるいは売却して利益を得ようとかしていません。判例から言えば、窃盗罪にはなりません。

●壊されていないのに器物破損罪?

被害者からすれば、自分の物である携帯が、自分のために使えなくなりました。その被害者の被害は、携帯が壊されたのと同じだと考えることが出来ます。判例は、物理的に物が損壊されたときに器物損壊罪が成立するとしますが、物理的に損壊されなくても、被害者が通常の用法通りに物を使用できなくなったときも、器物損壊罪が成立するとしています。

その判例の考え方があるため、山下さんの行為は「器物損壊罪」となったと思われます。

被害者の物が使えなくなるという被害は同じでも、不法領得の意思がある場合は窃盗罪になり、不法領得の意思がないときは器物損壊罪となります。そのようになる理由としては、不法領得の意思がある窃盗犯は、再犯の可能性が高いから重く処罰する必要があると言われています。

*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)

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