マスコミのヘリコプターの風が原因で重傷?責任はどこへ行くのか

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年11月8日 20時32分

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瀬戸内海を横断する「しまなみ海道」を自転車で走行中に、風に煽られて舞い上がったシートによって2名が転倒し、骨折するなどの怪我を負ったというニュースがありました。

自転車のレースを撮影する為に低空飛行していたヘリコプターの風が原因ではないかと言われているようですが、仮にヘリコプターの風に原因があった場合、操縦士はどのような責任を負うのでしょうか?また、操縦士以外にも責任は行くのかについても検証してみます。

●3つの責任がある

仮に、ヘリコプターの操縦方法にミスがあり、人が怪我をしたとすれば、ヘリコプターの操縦士は法的な責任を負います。

法的な責任の中身ですが、刑事責任、民事責任、行政責任の三つです。

●刑事責任

刑事責任としては、業務上過失傷害罪の成立が考えられます。問題は、操縦士にヘリコプターが低空飛行するとシートが舞い上がり人体に危険を及ぼす可能性があると予見できたか否かです。120メートルの低空飛行によってそのような危険性が生じると普通の操縦士であれば予見できるのであれば、予見可能性があることになり、刑事責任を負います。

●民事責任と行政責任も

民事責任としては、不法行為責任が生じます。これも予見可能性が問題となりますが、刑事責任の場合にくらべ、比較的簡単に認められますので、民事責任を負う可能性は高いと思われます。

低空飛行してはいけない場所なのに低空飛行したとか、法規に違反した飛行をしていれば、行政責任を負います。免許の停止とか取消があります。

刑事責任と民事責任は、低空飛行と傷害との間に因果関係がなければ認められません。低空飛行が原因ではなく、突風が原因のような場合です。法的責任を問う裁判ではこの因果関係が争点となります。

しかし、行政責任は、その因果関係がなくても法規違反があれば認められます。自動車の運転でも、人が怪我していなくてもスピード違反などによって、免停になるのと同じです。

●操縦士以外にも法的責任がある

上記は、操縦士の責任ですが、ヘリコプターを運営する会社やヘリコプターをチャーターした会社も法的な責任を負う可能性があります。

運営会社には刑事責任は生じませんが、民事責任と行政責任は生じます。運営会社には操縦士を指導監督する責任があり、それを怠っていれば、民事責任と行政責任を負います。

操縦士が民事責任を負う場合、運営会社はほぼ100%民事責任(使用者責任と言います)を負います。被害者は運営会社に損害賠償を請求出来ます。

法規に違反した指導監督をしていれば、行政責任を負い、営業停止処分などを受けます。

チャーターした会社が法的責任を負う可能性は低いと思われますが、無理な操縦方法を操縦士に要求したとか、特別の事情があれば、刑事責任や民事責任を負う可能性があります。

ヘリコプター、飛行機あるいは自動車など、利便性の高いものでも、人を傷つける可能性があるものには、厳格な法規が定められています。その法規に従うのは当然として、さらに人を傷つけない細心の注意が必要です。

*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)

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