お歳暮のつもりが「賄賂」になる? 知っておくべき賄賂の話

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年12月1日 13時37分

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年末にかけて贈り物が多くなる季節ですねよね。

日本の由々しき文化の一つですが、送る相手や内容によっては賄賂と思われてしまうかもしれません。そもそも賄賂とは何なのか、お歳暮は賄賂になるのかどうかなどについて解説してみたいと思います。

■賄賂とは何か

収賄罪や贈賄罪という犯罪が作られた理由は、公務員の職務の公正とこれに対する社会一般の信頼を保護することにあります。

刑法上、賄賂に関する犯罪は様々な種類が定められていますが、ここでは、基本的な単純収賄罪の贈賄罪を取り上げます。

(1)公務員に対し、(2)その職務に関し、(3)賄賂を供与、申込み、約束した者は、3年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処せられます。

まず、(1)「公務員に対し」について、刑法上対象となっているのは公務員のみですが、日本郵政やNTTの取締役等のいわゆる「みなし公務員」の一部に対する賄賂も特別法上刑罰が定められている場合があります。

次に、(2)「その職務に関し」について、判例は、公務員に当該職務を行う具体的権限はなくても、その職務がその公務員の一般的職務権限に属するものであれば賄賂罪が成立するとしており、そして、一般的職務権限には属さないものでも、その職務権限と密接な関係を有する行為については賄賂罪が成立するとしています。

さらに、(3)「賄賂を供与、申込み、約束」について、賄賂とは、公務員の職務行為に対する対価としての不正の報酬をいいます。ただ、一定の職務に対する対価であれば足り、個別的な職務行為との間の対価関係を必要とするものではありません。金銭や物品だけではなく、就職のあっせんの約束や異性間の情交も賄賂にあたりうるとされています。

■お歳暮が賄賂になる?

わが国ではお歳暮やお中元の贈答がひとつの文化を形成しているといえますが、このようなお歳暮等が社交儀礼としての贈与にとどまるか、それとも賄賂にあたるのかは、個別的な事情をみないと判断することはできません。

当該贈与が社交儀礼の範囲内のものであるか否かは、公務員と贈与者の人的関係、公務員や贈与者の社会的地位、贈与の金額等、贈与の時期や態様などを考慮して決せられるといえます。

最高裁判所は、中学校の生徒の父兄が教論に贈答用小切手を贈った行為について、学習上生活上の指導に対する感謝の趣旨と、教論に対する敬慕の念に出たものとして賄賂に該当しないとしました。お歳暮に関しても、公務員である知人への日ごろの感謝の趣旨と敬慕の念に発する儀礼の趣旨に出たものであると考えられるならば、賄賂にはあたらないと考えられます。

*著者:弁護士 鈴木翔太(法律事務所ホームワン。東京弁護士会所属。「依頼者の立場に立って考える」ということを基本に据えている。)

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