高速道路で歩行者と事故、それでも運転手は責任を負わなきゃいけないの?

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年12月6日 11時6分

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高速道路を歩いている人が走行中の自動車にはねられるといった事故がときどき報道されます。高速道路での自動車のスピードはかなり高速ですから、死亡事故となることも珍しくありません。

運転手からしてみれば高速道路に歩行者がいるなんて思いもしないでしょうし、ネット上では「運転手がかわいそう」「避けたら別の事故になるよね」などと、運転手に同情する声があがることもよくあります。

しかし、事故を起こした以上、運転者が現行犯逮捕され、実名で報道されることもあります。「運転手がかわいそう」と言われてしまう状況であっても、やはり、運転者の行為は犯罪となってしまうのでしょうか?

■運転者が問われる罪

運転者の行為について成立する可能性が最も高い犯罪は過失運転致死傷罪です。以前は自動車運転過失致死傷罪と呼ばれていたものです。

同罪は、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた」場合に成立します。もっとも、運転者がお酒を飲んでいたり、適正な速度を超過していたりする場合には、もっと重い犯罪が成立します。

■運転者を罪に問うべきなのか

そもそも高速道路は歩行者の侵入は禁止されており、歩行者がいないことが高速道路のメリットであるわけです。そのような場所に歩行者がいるのであれば、悪いのは歩行者であって、事故の責任を運転者に負わせるのはおかしいのではないか、との考えもあると思います。

しかし、高速道路であっても過失運転致死傷罪の適用を除外する定めはありませんので、被害者が高速道路上の歩行者であるということは、過失運転致死傷罪の成否を評価する中で、ひとつの具体的事情として考慮されることになります。

「自動車の運転上必要な注意を怠り」という部分から、法律が着目しているのは運転上の注意義務であることがわかります。注意義務違反がなければ、過失運転致死傷罪は成立せず無罪となります。

一般論としていえば、高速道路上に歩行者がいるとは思わず、歩行者に気付くことができなかったり、気付くことができても回避することができなかったりするような事情があって、それらが真にやむを得ないといえる場合には、たとえ事故が起きたとしても運転者に刑事責任は認められません。

■高速道路上でも運転者の注意義務はあるが…

高速道路上において、過失運転致死傷罪との関係で最も重要な注意義務は、前方注視義務です。車の前方に人がいなければ、事故は起きません。逆に、前方を注視していれば、歩行者を発見でき、急ブレーキ等の対応ができたにもかかわらず事故を起こした場合には、過失運転致死傷罪は成立します。

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