無罪が確定したのに損害賠償請求は認められなかった男性…どうしてこうなった?

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年11月29日 20時35分

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わいせつ事件で起訴された後、無罪が確定した男性が、被害届を提出した女性に損害賠償請求をしたところ、裁判所が男性の請求を棄却するということがありました。

請求を棄却した裁判官は、女性の供述の信用性には疑いを入れる余地があるものの、わいせつ事件が存在しないことの証明がないとして訴えを退けました。

裁判長が、女性の供述の信用性に疑いがあるとしたにもかかわらず、損害賠償請求が認められなかったことについて、疑問の声が多くあがっています。

刑事裁判で無罪になったのに、民事裁判で負けてしまうという今回のケース。無罪になったのなら損害賠償請求が認められても良いと考えるのが普通ではないでしょうか。今回はこの不思議なケースについて、ヴィクトワール法律事務所の荻原邦夫先生に聞いてみました。

■わいせつ事件が「ない」ことを証明するの無理では?

「『ない』ことを証明することは悪魔の証明と言われることもあり、理屈としては『ある』として想定される無数の可能性を全て否定しなければならず、とても難しい。」

「しかし、女性が警察へ届け出た被害事実は日時、場所、当事者の言動などが具体的に特定されていますから、その具体的事実が実際の客観的事実と異なっていると立証することになります。ですから、証明する対象が無限大に広がるということはありません。」

慰謝料などを求める裁判では、原告が請求に関わる具体的な事実を立証する責任を負います。この裁判で求められている事実は、実際にわいせつ事件がなかったことです。

つまり、女性の意見とは異なる事実があったことを証明すればいいことになり、簡単にいえば、アリバイ等が「ある」ことを証明すればよいわけです。

■無罪判決が確定しているのに請求が認められないのはなぜ?

ここでは、刑事訴訟制度と民事訴訟制度の違いをまず念頭において考えることが求められます。

「刑事訴訟では、『疑わしきは被告人の利益に』とも言われるように高度の立証が求められます。疑わしいとしても、立証できなければ無罪となります。」

「他方で、民事訴訟において不法行為を立証するには、女性が警察へ届け出た内容が客観的事実に反し虚偽であること、つまり、わいせつ行為がなかったことを立証しなければなりません。」

刑事訴訟では、極端なことを言いますと、検察官のみが犯罪のあったことについてせっせと立証することを求められ、被告人が特に何をしなくとも検察官が立証に失敗すれば検察側の敗訴、つまり無罪となります。

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