「スリ行為」が認められて「痴漢が無罪」に…未遂でもなぜスリで有罪にならないの?

シェアしたくなる法律相談所 / 2016年11月29日 6時30分

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*画像はイメージです:http://www.shutterstock.com/

普段から電車通勤をしている会社員の男性にとって「痴漢冤罪」というのは決して他人事とは考えられない、という方は多いのではないでしょうか。もし自分が痴漢を疑われてしまった場合、どう対策すべきなのかというのは男性なら一度は考えたことがあるトピックだと思います。

ただ、今回ご紹介する事件は少し特殊です。痴漢容疑で逮捕された容疑者男性が「実はスリをする目的で女性に近づいていて、スリ行為の途中でたまたま身体に触れてしまったのだ」と大阪地裁で主張し、痴漢行為についてはなんと11月15日に無罪判決が言い渡されることになりました。

そこで今回の記事では、この事件の概要から、男性が痴漢を疑われないようにするノウハウまでを、民事法務に詳しい弁護士法人サリュ銀座事務所の竹内省吾弁護士にお話を伺いました。

*取材協力弁護士:竹内省吾(弁護士法人サリュ 銀座事務所。主に交通事故に注力している。法律相談は無料で、夜間も相談を受け付けている。)

■なぜ「スリ行為未遂」は無罪に?

まず、今回の事案ではなぜ被告男性は無罪になったのでしょうか。

「訴えられた事実そのものは痴漢行為であったのですが、実際の裁判において、被告人は、スリ(窃盗)のつもりだったと、痴漢行為に故意があった事を否認したところ、裁判所がこれを認め、痴漢行為には故意がなかったとされたため、訴えの事実となっている犯罪行為については、無罪となりました。

痴漢と窃盗は、その罪の質が全く異なり、どちらかがどちらかの故意を含むという明確な相関性がないため、訴えの事実に窃盗が入っていない以上、『痴漢ではなく窃盗の故意があった』と認定する場合には、無罪とせざるを得ません。」(竹内弁護士)

つまり、痴漢として被害届を出されて裁判に持ち込まれたものの、被告側は「痴漢ではなくスリ目的だった」と主張し、裁判官にこの主張が認められたため、痴漢に関しては無罪となったのですね。確かに痴漢とスリでは該当する法律も全く異なりますからね。

■もし痴漢で捕まっても「スリ目的」だったと主張すれば無罪に?

では、もし仮に痴漢目的の人が今回の事案を参考にして痴漢をして捕まったとしても、「実はスリ未遂だったんだ!」と主張すれば、無罪になる可能性はあるのでしょうか。

「まったく同じ事案ではあり得るでしょうが、今回は、痴漢されたという被害者の女性の供述の信用性が減殺された点が、検察官側の痴漢行為の態様の立証を大きく妨げたと思います。何でもこの主張をすれば通るというものではないです。」(竹内弁護士)

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