「売上を上げている」ことを理由に自由出勤する営業部長 法的に許されるの?

シェアしたくなる法律相談所 / 2018年10月9日 18時16分

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都内の会社に勤めるTさんは、営業部長の自分勝手な行動に怒りを感じています。その理由は、自由すぎる勤務態度。

午後15時頃に出社してすぐに帰ってしまう、気分で出勤しないことがある、いつ出勤するか部署メンバーに告げないなど、やりたい放題なのだそうです。役員が注意はしていますが、本人は「売上は上げている。文句はないだろう」とどこ吹く風。Tさん以下営業部のメンバーは、やる気を削がれているといいます。

営業部長の「売上を上げていれば勤務体系は自由」という論理は法的に通用するのでしょうか? エジソン法律事務所の大達一賢弁護士に見解を伺いました。

懲戒の対象になる可能性

大達弁護士:「一般的に会社に無断で欠勤したり、出勤時間を変更したりすることは、原則として、就業規則に反し、または、労働契約に付随する「職務専念義務」に反することになると考えられます。

この「職務専念義務」は、法律上の概念ではないものの、最高裁の判例では「労働契約により労働者は就業時間中その活動力をもっぱら職務の遂行に集中すべき義務を負う」(最判昭和57.4.13「伊藤正己補足意見」)としており、一般企業においても職務専念義務を負うと解されています。

そして、従業員が就業規則や職務専念義務に反する場合、会社は、違反した従業員に対し、就業規則に基づいて懲戒をすることとなります。

本件のような場合にも、就業規則や労働契約で「売上を一定以上上げている場合に欠勤等をすること」が認められていない限り、営業部長は懲戒の対象となるでしょう」

管理監督者の場合は許されることも

大達弁護士:「もっとも、懲戒の対象となるからといって、会社には懲戒処分をする義務があるわけではないので、営業部長の上司に当たる人物(代表取締役など)が、営業部長の行動を認識しつつ、敢えて黙認しているような場合には、当該会社においては事実上、売上を一定以上上げている場合に欠勤等をすることが認められていることになります。

この場合において、ほかの従業員が営業部長と同様に、一定以上の売上を上げているにもかかわらず、欠勤等が認められないような場合や、欠勤等に対して公平性を欠く懲戒処分がなされた場合には、会社の処分が権利濫用(労働契約法3条5項、同15条)として無効になる可能性もあります。

また、営業部長が「管理監督者」(労働基準法41条2号)として出欠勤等について大幅な裁量を有している場合には、結果として売上を上げていることを理由に会社を欠勤することも許容される場合もあるように思われます。

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