経営者の公私混同が招く「利益相反取引」弁護士が事例とともに解説!

シェアしたくなる法律相談所 / 2019年6月3日 15時40分

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このサイトの読者の方なら、「利益相反取引」という単語を一度は聞いたことがあるかもしれません。

会社の利益相反取引とは、取締役が会社の利益を犠牲にして、自分または第三者の利益を得る取引のことです。

とはいえ、具体的にどんな取引を指すのか、いまいちピンとこない方も多いのではないでしょうか。

今回は「利益相反取引」の具体的な相談事例をもとに、対策案などについてセンチュリー法律事務所の小林洋介弁護士に解説していただきます。

Q:相談事例

月刊誌等の企画、編集等を業とするA株式会社の取締役を務めておりますBと申します。

A社の代表取締役は、A社が窮境時に支援していただいたC社(主に印刷業を営んでいます。)の代表取締役社長Dが兼務しておりますが、A社の株主は、Dを含め全部で4人で、Dは20%程度の議決権しか有しておりません。

また、A社は取締役会設置会社であり、A社の取締役は、B、D、E、Fの全部で4人です。C社の株主はD一人です。

このたび、DはA社の取締役会決議を経ずに、独断でA社で企画した月刊誌の印刷業務をC社に発注していることが判明しました。発注金額はC社の言い値で、C社にかなり利益が出ているようです。A社の立場とすれば、他社見積もりとの比較もできず、不利な取引をさせられていたと感じています。DやC社に対して何か言えないでしょうか。

A:回答 取締役と会社との利益相反取引

まず、A社はDに対して何らかの請求ができないでしょうか。

本件では、A社の代表取締役であるDがAを代表して、同じく代表取締役であるC社に対して印刷業務を発注するという取引(以下「本件取引」といいます。)を行っています。

これは、取締役(D)が第三者(C社)のために株式会社(A社)と取引をする場合ですので、いわゆる「利益相反取引」に該当します(会社法356条1項2号)。

A社は取締役会設置会社ですので、A社取締役会において、本件取引につき重要な事実を開示し、取締役会の承認を受けなければなりません(会社法356条1項、同法365条1項)。

本件では、本件取引につき取締役会決議を経ずに取引が行われており、会社法に違反する法令違反行為を行ったものとして、A社はDに対して損害賠償請求することができます(会社法423条1項、同条3項)。

損害賠償額については、その取締役の行為によって会社が被った損害額とされており、本件では、本件取引の取引額からC社が負担した原価を引いた利益相当額が損害額と考えられるでしょう。

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