【法的に問題は?】事件や事故の被害者を写真入りで実名報道…弁護士が解説!

シェアしたくなる法律相談所 / 2019年6月14日 14時58分

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TV Broadcast news studio with many computer screens and control panels for live air broadcast.

昨今凶悪事件や重大な交通事故で死亡した被害者をメディアが実名で放送することに批判が集まっています。

真相は不明ですが、ある有名人が、「メディア関係者が卒業アルバムなどを提供する人間を探している。軽蔑する」と苦言を呈し、賛同者が殺到したこともありました。

被害に遭った遺族としては、自分の同意なしに顔写真や実名を世間に流されることについて、否定的になるのは当然のことでしょう。

メディアの実名報道は法的に許されているのでしょうか? パロス法律事務所の櫻町直樹弁護士に見解をお伺いしました。

写真・実名報道に問題はないのか?

櫻町弁護士:「事件や事故が発生した場合、新聞やテレビなどのメディアで被害者の氏名や容貌(顔写真)が報道されることが一般的ですが、従来に比べて、そうした「被害者に関する報道」への批判も多くなっているように思います。

もっとも、「死者」に関する法的な権利保護は限定的であり、生存している個人と同様に保護される訳ではありません。

例えば、個人情報の保護に関する法律で対象となる個人情報は、「生存する個人に関する情報」(法2条1項)であり、死者に関する情報は対象とされていません。

死者の権利が保護される例としては、たとえば著作権法においては

「著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなった後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。」

と規定され、著作者が「存しなくなった後」も著作者人格権は保護されるとしています(法60条本文)。

また、刑法においては「死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。」(法230条2項)と規定され、虚偽の事実摘示による故人の名誉を毀損する行為が処罰対象とされています。そして、この場合の保護法益は「死者自身の名誉」と考えられています」

死者のプライバシーは保護対象にならない?

櫻町弁護士:「他方で、死者の「プライバシー」については、法的な保護の対象にならないと考えられています。

ただし、東京高等裁判所昭和54年3月14日判決・判タ387号63頁は、

「死者の名誉ないし人格権についてであるが、刑法二三〇条二項及び著作権法六〇条はこれを肯定し、法律上保護すべきものとしていることは明らかである。右のほか、一般私法に関しては直接の規定はないが、特に右と異る考え方をすベき理由は見出せないから、この分野においても、法律上保護されるべき権利ないし利益として、その侵害行為につき不法行為成立の可能性を肯定すべきである。」

としており、死者についてもそのプライバシーについても法的保護の対象になり得るという考え方を示しています。

しかし、上記東京高判は続けて、

「しかし、この場合何人が民事上の請求権を行使しうるかについてはなんらの規定がなく、この点につき著作権法一一六条あるいは刑事訴訟法二三三条一項を類推してその行使者を定めるとすることもたやすく肯認し難い。結局その権利の行使につき実定法上の根拠を欠くというほかない。」と、「法的保護の対象となる権利あるいは利益(プライバシー)が認められるとしても、行使はできない」

としているので、結局は、死者のプライバシーについては法的に保護されない、という解釈になるでしょう。

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