大国の焦り。中国が一方的に「東シナ海ガス田」開発を続けるワケ

まぐまぐニュース! / 2015年10月25日 19時20分

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政府は先日、東シナ海の日中中間線付近に中国が建設した16基ものガス田開発施設の写真を公表しました。南シナ海しかり、なぜ中国は強引に海洋進出を画策するのでしょうか。台湾出身の評論家・黄文雄さんはメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の中で、中国が置かれている危機的状況に起因すると分析しています。

なぜ中国は東シナ海ガス田開発を続けるのか

●政府、中国ガス田写真を公開=中間線付近に構造物16基─菅官房長官、中止要求

東シナ海での日中中間線近くで、中国がガス田開発のために16基の構造物を建設していることについて、日本政府は中国が一方的に資源開発していると批判し、中止を要求しました。

このガス田開発については、2008年8月に日中共同開発合意され、当時は2箇所だった白樺(中国名・春暁)と翌檜(中国名・龍井)の掘削施設について、日本側が資本参加して詳細が決まるまでは中国開発中断することで合意していました。

ところが中国はいくら日本が計画の詳細を詰めるための交渉を持ちかけても応じず、それどころか秘密裏掘削施設建設を進めていたのでした。そして現在では16基にも増えてしまったわけです。

日本の批判に対して中国は、「中国の活動は争いのない中国の管轄海域で行われている」「日本のやり方は対立をつくる意図がある」などと応酬していますが、約束を守らなかったのは中国側の方ですから、この言い訳は通用しません

[参照]中国「対立つくる意図」と非難=ガス田開発は「主権の範囲内」

この東シナ海のガス田は、日中双方の海域に広がっているわけですが、どちらかが一方的に掘削施設をつくってしまえば、そこから双方の海域にあるすべてのガス吸い取ってしまえるわけで、だからこそ共同開発で合意して、一方的な開発をしない約束したのです。

ただし、ガスの埋蔵量は開発投資を回収できるほどではなく、赤字になるといわれてきました。つまり、資源開発は建前であり、中国にとっては海洋覇権握るため橋頭堡として、施設建設を進めているということです。もちろん日本も、それを阻止するために「共同開発」を主張したわけです。

さらにいえば、本メルマガでもこれまで述べてきたように、中国は最近、南シナ海支配を推し進めていますが、これに対する批判をかわすために、東シナ海での活動を活発化させている側面もあります。中国にとっての戦略的な重要性からすると、東シナ海より南シナ海のほうが高いからです。

中国は、陸の拡張は西南ではインド、西はイスラム世界、北はロシアに阻止されているため、海への進出しか残っていません。そのため「海に出なければ中国人の21世紀はない」と主張しながら、月まで「中国の絶対不可分の固有領土」「月の資源開発」などと放言しています。ネットを通じて観測気球を打ち上げ、世界の反応を測ってから政府が主張をするというのが従来中国型主張です。

加えて、中国国内の経済状況の悪化が挙げられるでしょう。6月中旬から7月上旬にかけての中国株式の大暴落で、自殺者が続出しているとも報じられています。中国株式の8割以上が個人投資家ですから、それもありうる話です。

[参照]自殺者…9000万人が損失「上海株暴落」で中国は暴動前夜

こうした民衆の不満他へ逸らすために、わざと日本側を挑発して、日本の反発に対して反日気運煽る、といった意図もあると思われます。

日本の防衛白書では、こうした中国の海洋進出について、「高圧的」と警戒感を示しましたが、これに対して中国側は「強烈な不満と断固たる反対」を表明しています。

[参照]

中国の海洋進出「高圧的」 防衛白書、対話重要性も指摘

中国政府「強烈な不満」表明 日本の防衛白書を受け

外交部の陸慷報道官は日本が発表した2015年版「防衛白書」について記者の質問に答え

さらには、先日衆院で可決された安保法案についても、「専守防衛、平和発展の道を歩むといいながら、安保政策を大幅に変更しようとしている」「このようなやり方が周辺地域平和安定不利な影響を作り出している」「南シナ海に日本は介入し、地域の緊張煽っている」などと批判していますが、どう考えても緊張高めているのは中国の方です。

北京週報は「日本の新安保法歴史の恥になる」などという記事を掲載していますが、それだけ中国にとって安保法案嫌だったということなのでしょう。であるならば、やはり安保法案の可決は日本にとっていいことだったわけです。

[参照]日本の新安保法は歴史の恥に

人民日報も新安保法案への抗議運動を取り上げていますが、インタビューした男性が「安倍談話に『侵略』『反省』『おわび』などのキーワードを入れろ」などと、中国の主張とまったく一致している点で、やはりこの運動には中国支援があることが伺い知れます。

[参照]日本各地で新安保法案に抗議 内閣不支持率が初めて過半数に

いずれにせよ、危機的状況にある中国は現在、さかんに国内統一外敵攻撃を繰り返しています。

先日は、チベットのパンチェン・ラマが習近平に「謁見」したという記事が流れました。宗教的指導者よりも習近平のほうが上だということを改めて示したわけです。現在のパンチェン・ラマは中国共産党選ばれた人物ですが(ダライ・ラマが認定したパンチェン・ラマは1995年、家族ごと中国共産党に拉致されて現在も行方不明)、「祖国の統一と民族の団結を断固として維持する。習総書記の諄々たる教えと導きを必ずや銘記し、チベット仏教と社会主義社会の相互適応およびチベットの調和・安定の促進のために力を捧げる」と表明したそうです。

[参照]パンチェンが習近平総書記に謁見

その一方で、民主活動家200人以上拘束されていることは先週のメルマガでも述べた通りです。中国共産党は、かなり崩壊の危機感を抱え、国内締め付けと反日による統一を進めていると言わざるをえません。

危機感が強くなると最後のあがきとして、政治的強く出なければならなくなるという現象は、マキャベリの「君主論」でも述べられています。それは古今東西に共有する現象です。習近平は「中華民族の偉大なる復興の夢」を達成するために、海の次宇宙への戦いを展開しようと目論んでいます。

しかし、南シナ海と東シナ海への主張をみればわかるように、歴史的根拠がないため軍事力で威嚇せざるをえず、そのため結局、軍事力経済を食いつぶすこととなり、歴史の終焉を迎えざるをえないでしょう。

image by: Wikipedia

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黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」より一部抜粋著者/黄文雄

台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!

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