学校の隠ぺい体質がある限り、いじめ防止策は無意味なものなのか

まぐまぐニュース! / 2015年8月28日 4時30分

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滋賀県大津市のいじめ問題や、今年7月の岩手中2自殺事件をふまえ、様々な研究機関が新たないじめ防止策を打ち出しているようです。今回はメルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』より、文部科学省の研究機関が作成した学校向けのいじめ対策資料について、ご紹介いたします。

いじめに備える基礎知識

文部科学省の研究機関である国立教育政策研究所が、いじめの防止につなげるため、「いじめに備える基礎知識」というリーフレットを作成しました。

これは、学校向けの資料で、この中では、いじめの定義や実態、対処方法のほか、「学校いじめ防止基本方針」に基づく点検の大切さが説明されています。また、学校やPTAの研修会向けに「いじめに関する研修ツール」も作成され、自己点検シートや参加者用アンケート、研修会担当者用の実施要領などがセットになっています。

さてこのリーフレットの内容ですが、

1.いじめの理解と定義(いじめイメージを更新する)

2.いじめの発生実態(いじめの特徴を正しく知る)

3.いじめの未然防止(いじめを起きにくくする)

4.早期発見・早期対応(速やかに組織で対応する)

5.いじめに対する措置(起きたいじめに対処する)

6.基本方針の点検・見直し(意図的・計画的に取組を進める)

という構成になっており、教師の皆さんに、いじめに対する認識を新たにしてもらい、正しいいじめへの対処をしていくという内容になっています。

この「いじめに備える基礎知識」及び「いじめに関する研修ツール」は、どちらかというと、いじめへの認識を改める内容に重点が置かれています。

大津のいじめ事件を受け、国が制定した『いじめ防止対策推進法』のコンセプトは、「いじめをできるだけ広く捉えて、早期に発見し、組織的に対処する」というところにありました。

しかし、岩手のいじめ自殺事件では、生徒が相談しても、学校がいじめだと認めず、何も対処をしていないという実態が浮かび上がってきています。学校が、いじめをきちんといじめだと認め対処をしない限り、いじめは解決には至りません。教師の皆さんのいじめに対する認識を改める必要が、そこにあると思います。教師一人一人が正しい認識を持つと共に、共通認識として情報を共有することで、いじめに対する学校の体制も築かれていくのではないかと思います。

ここでもう一つ問題になるのが、学校の隠ぺい体質ではないかと思います。

いじめを狭く捉え、いじめを認めないことで、「いじめの無い学校」を装うためです。

事件の起きた岩手の中学校は、随所にこの体質が表れているように思います。校長の記者会見などは、当初はいじめを認めていませんでしたが、事実が明らかになるにつれ、いじめを認めざるを得なくなりました。

また、この学校がつくった『いじめ防止基本方針』では、国の基本方針に手を加え、いじめの範囲を意図的に限定していました。

たとえば、国が『冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる』としているところを、同校は『冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことをしつこく繰り返し言われる』として、『しつこく繰り返し』という言葉をあえて加えています。

また、国がシンプルに『仲間はずれ』としているところでも、『意図的な仲間はずれ』と、要件を加えて厳しくしています。そして、国が『軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする』としていたところから、『軽くぶつかられたり』を削っています。更に、国が示していた『金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする』は、姿がありません。

そして、この事件の報告書においても、「程度が軽いものはいじめではない」という意識が感じられ、「いじめ認定」の幅が狭いものになっています。

事件が起き、その責任が問われているにも関わらず、事件を小さく見せ、自分たちの責任も小さなものにしようとする姿が感じられます。

今回のリーフレットやツールを使って、いじめ認識を改めていくという取り組みは、とても大切なことだと思いますし、ぜひ実行して行っていただきたいと思います。

それと同時に、いじめを隠ぺいする学校に対して、それを摘発し、改善させるシステムが必要なのではないかと思います。文部科学省としても、このような問題ある学校に対して、指導を行う部隊を作り、取り組んでいくべきではないかと思います。

私たちも少しでも改善の方向へ向かうよう、活動を盛り上げてまいります。皆様のご協力をお願いいたします。

いじめから子供を守ろう ネットワーク

事務長 丸山秀和

image by:Shutterstock

 

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