米国の大勝利。首脳会談で「白紙の小切手」を手に入れたトランプ

まぐまぐニュース! / 2018年6月14日 17時45分

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米朝首脳会談における北朝鮮の外交勝利を一斉に報じる日本メディア。これを受け、「賞賛一辺倒は工作員の仕業」と皮肉り、あえてトランプ大統領勝利説を唱えるのは無料メルマガ『マスコミでは言えないこと』の著者でITジャーナリストの宮脇睦(みやわき・あつし)さんです。宮脇さんは、大統領=ビジネスマンと見る場合、具体性に欠けると言われる米朝合意書は「白紙小切手」で、今後ツイッター爆弾発言でも内容を覆すことが可能だとの持論を展開しています。

米朝会談、トランプ完全勝利説を唱えてみる

我が国のテレビは工作員だらけ。そう結論づけたくもなるのが、米朝首脳会談における解説」。ほぼすべてが「北朝鮮の外交勝利」と凱歌を上げています。

朝日新聞系のテレビ朝日や、ハングル語ができないと出世できないと、同局社員安住紳一郎氏が発言したTBSは当然ながら、歴史的と騒ぐ米朝会談のはじまりのときでさえ「テレビショッピング」を放送していたテレビ東京ですら、北朝鮮の外交を持ち上げます

なかでも「モーニングサテライト」は直前まで開いていたニューヨーク市場の「株価」や「為替」というリアルを踏まえて報道するので、思惑とか工作活動の色が薄いのですが、それでも北朝鮮がらみでは、あちらの思惑に沿った報道ばかり。

米朝首脳会談直前の6月12日の午前6時前からの番組では、

「拉致被害者は全員死亡していると伝えられたドナルド・トランプ米国大統領が、それをそのまま記者会見で語ると、対米追従しかできない日本は窮地に追い込まれる(要旨)」

北朝鮮のプロパガンダをそのまま報じます。

ちょっと待て。横田めぐみさんを始め「すでに死亡した拉致被害者の遺骨」と北朝鮮が送りつけてきたご遺骨を、DNA検査したら、まったく別人のものだったことは周知の事実で、当然、安倍晋三首相を通じて、トランプ大統領に伝わっているはず。

ならば、こんな珍説は、あちらの工作活動と見るべきで、報道にすら値しないことながらも、ペラペラと訳知り顔で語ります。

これを語ったテレ東の記者らしき人物が、仮にこのためらいがないとしたらあまりにも無能です。しかし、工作員と定義すれば実に腑に落ちます。腹立たしいですが。

そして翌日の6月13日、米朝会談をこう総括します。

  • 北朝鮮ベースの会談だった
  • 日本は金だけ出せ

トランプ大統領に批判的な新聞記事だけ紹介してDisります。

一方、この番組は米国からの中継もアリ、現地の新聞「ワシントンポスト」が金正恩氏を「クレイジーガイ」と紹介し、予測不能なので結論づけるのは早いと、要約すればそんな論があることを紹介しています。

つまり、立場によって、切り取り方により評価が変わるということで、私の見たても幅がありますが、あまりにもテレビその他の報道が偏っているので、本稿では「ドナルド・トランプ完全勝利説を唱えてみようと思います。

その前に工作活動を紹介しておきます。テレビ朝日「グッドモーニング」も米朝会談の勝敗を北朝鮮の勝利と位置づけます。

ワシントン特派員とかの肩書きで語る言葉は

関係者によると

と断りながら、トランプ大統領の批判ばかり。その関係者の氏素性に触れません。情報源の秘匿ではなく、ここはこう読み解くべきでしょう。

「なぜ、政府関係者、政府高官といわない」

つまり、ワシントンやニューヨーク周辺には掃いて捨てて、ありあまるほどいる「反トランプ」色も鮮明な、米国民主党系の政治家や元官僚、シンクタンクの弁を「関係者」とだけ切り取り紹介している可能性が高いということです。

日本で言えば国会を18連休するような、特定野党に聞いた「安倍のバーカ」をもとに

「政府への不信感が高まっている」

と関係者のコメントとして紹介するようなものです。

テレビ朝日では「グッドモーニング」の後に放送される「モーニングショー」はマンセーのみ。共同通信大田昌克氏の「えびす顔」がすべてを語ります。

ほぼ全編が米朝会談。なお、この番組は与党が応援した候補者が当選した、新潟知事選挙については1秒も触れませんでした。前職の米山氏の辞職時は、女性スキャンダルへの批判もそこそこに「原発再稼働はどうなる」と取りあげていたのにです。

日曜日のTBS「サンデーモーニング」までこのマンセーは続くのでしょう。もっともフォロワーさんからこの番組は「(北朝鮮)マンセーモーニング」だと聞いたので驚きもしませんが。

まず「ドナルド・トランプ完全勝利説」に踏み込む前に、直前までの状況を確認しておきます。

工作員が大活躍のテレビメディアは「北朝鮮の外交勝利」と喧伝しますが、そもそも6・12シンガポール会談を懇願したのは北朝鮮側です。

当初の首脳会談が持ち上がった理由は「お互い様」だったにせよ、首脳会談合意後に調子こいて米国を挑発し、

「だったらやーめた」

と日本時間の5月24日午後10時頃に、会談中止を発表したトランプ大統領に焦った北と南が必死になだめすかして、一説によれば「土下座(的)」までして、会談の約束を取り付けたのは北朝鮮です。

だから、その「悲願」が実現したという意味では、北朝鮮の勝利ですが、それは「参加」したということに過ぎず、身内で喜ぶ以上の価値はありません。ここも「工作員疑惑」と私が見立てるところです。

そしてそもそも会談前から言われていたことは、「会うことが最大の目的で何も決まらないのではないか」ということで、その通りになったことをもって、なぜ北朝鮮の勝利なのかということ。

開会式に参加しただけで北朝鮮が勝利するとは、どんなスポーツでもあり得ないこと。まもなく開催されるサッカーワールドカップで、開会式に出席したからと勝利宣言するチームや、サポーターがいれば心療内科への通院加療を進められることでしょう。

完全な非核化を意味するCVIDが合意文書はもちろん会談でも詰められなかったことをトランプ大統領は「時間がなかった」と説明。これを共同通信・大田昌克氏は先の「モーニングショー」のなかで

「だったら会見なんかしていないで話を詰めろ」

と居丈高に詰りますが、会見に要した1時間で詰められる話しなら、とっくの昔につめていることでしょう。工作員同然の言説を繰り返す連中は、その使命感からか、安堵の興奮から論理性を失っています。

CVIDが確定しないなら会うな、というのなら、その先に待っていたのは軍事オプションです。大田氏がそれを望んでいたのなら、私も幾ばくかの同意をすることでしょうが、さにあらず。彼の馬脚はすぐに表れます。

「日本も米国の核の傘から離れるべきだが、その前に朝鮮半島の完全なる非核化が必要だ(要旨)」

さも、トランプ大統領の選択が間違っていたかのように批判しますが、間違っているのは大田昌克氏です。そして前日の放送でも、青木理氏が同じ間違いを披瀝します。

米国の核の傘とは、米ソ冷戦時代の産物で、いまはロシアと、そして中国による核の脅威から日本を守っているもので、北朝鮮の核の脅威は後付けです。

つまり、北朝鮮が非核化してもロシアと中国に核弾頭がある限り日本は自主的に核武装をするか米国の核の傘に頼るしかないのです。

大田、青木と、北朝鮮に優しい発言を繰り返す両者が足並みを揃えるところも「工作員疑惑」の状況証拠と見ています。

もちろん「会うことに意味があった」とする理由は、米朝それぞれにあり、軍事オプションを怖れる金正恩氏だけではなく、米国側にも軍事オプションを回避したい思惑がありました。

なぜなら、軍事オプションを行使すれば、軍人はもちろん、在韓米国人など、一定の米国国民に被害がでるので、それこそ「中間選挙に悪影響を及ぼしかねません。

そしてトランプ政権の中枢にはジェームズ・マティス国防長官を筆頭に、「軍人」が多く入っており、彼らは仲間が傷つく戦闘行為を可能な限り回避しようとします。

しかし、「会わない」となれば、トランプ大統領の性格上、あれだけ挑発したのですから「やらないという選択肢はなくなります。それでは彼が忌み嫌う「オバマ」と同じ腰抜けです。

これは推測に過ぎませんが、トランプ大統領のような虚仮威しが好きな人物は、米国において「チキン(臆病者)」という評価を毛嫌いすることでしょう。

だから、米国側にも「会わない」という選択肢はなかったわけですが、それは「痛みを伴う決断を避けるためであり、対して北朝鮮においてその決断が意味するところは「痛みを感じない存在になる」可能性を受け入れるということです。

トランプ批判、北朝鮮完全勝利の文脈で、今回の共同宣言には「具体的な約束がない」とあげる人が工作員界隈に少なくありませんが、彼らがそもそも繰り返していたのはこんな主張。

「非核化の約束を北朝鮮がしても、それを守るとは限らない

つねに約束を破り続けた北朝鮮への批判ではなく、「非核化は無理」と印象づけるための発言です。

ならば、つまりはこうなります。

「そもそも約束しても意味がない

だから、具体的な合意内容がなかったと見ることもできます。

はい、ここからが「トランプ完全勝利説」です。あらかじめ断っておきますが、ひとつの可能性にすぎません。これまでトランプ流の外交、政治、これらを総合した上で、ビジネス視点でみた仮説です。

米朝合意に具体的な約束はない。それは「白紙の小切手」と見ることもできる。

ということ。白紙の小切手とは、受け取った側が好きな金額を書き込めるという意味で、何も具体策が盛り込まれなかったということは、米国側の言い値で交渉ができるということ。

工作員達は北朝鮮が、具体的に何も制約を受けず、約束しなかったことをもって「勝利宣言」していますが、ビジネスシーンにおいて、立場が強い取引先から我が身を守ってくれるのが、詳細な取引条件が記された覚え書きや契約書です。

反対にもっとも怖いのが「口約束」です。

「よろしくやっておいてよ」

との「よろしく」に込められた意味を「忖度」しなければならず、例えば引き渡し後の瑕疵(かし=ミス)についての約束がなければ、

「完成品を納品するものだ。完成品とは不完成品ではない。こちらが納得する完成品になるまでやり直すものだ」

と押し切られることなどよくあること。だからこそ、子細を詰めて契約を交わすのであって、約束事とは弱者が強者から身を守る術でもあるのです。

米韓軍事演習をやめるとの発言を問題視する人もいますが、「交渉が順調に進んでいるあいだと注釈をつけています。

そしてこの「順調の定義はなく、「北朝鮮は意図的に交渉を遅らせている! 不誠実な態度だ!」とトランプ大統領がツイートすればそこでおしまいとなる可能性があるということです。

非核化の費用について、日本と韓国が支払うという記者会見での話しにしても、その前段に「私は取引がしたい」とトランプ大統領は繰り返しているので、「条件次第と解釈すべきですが、工作員達は「日本が無条件に金を支払う」かのように繰り返します。

ビジネスシーンに生きるもの、ましてや会社員時代は中小企業で、独立後は個人商店という弱者の立場で生きてきた私の経験からすれば、米朝会談における、白紙の小切手状態の合意書など、よくサインしたものだと、むしろそこまで北朝鮮は追い詰められているのだと見ることもできるということです。

繰り返しになりますが「トランプ完全勝利説」とは、北朝鮮の工作員と思えて仕方がない、左派メディアとテレビ報道の正反対の視点からの観察で、この見立がすべてではありません。

しかし、ドナルド・トランプ米国大統領を「ビジネスマン」としてみれば、「歴史的米朝会談」の勝者を、北朝鮮とすることはできないという話しです。

image by: Flickr

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