加工肉は「確実な発がん物質」の衝撃。医師が「加工肉税」を提唱

まぐまぐニュース! / 2019年3月6日 19時30分

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世界保健機関(WHO)がベーコンやソーセージ、ハムなどの加工肉は「確実な発がん物質」であると発表したのは2015年10月でした。それから3年余、加工肉の消費低下が実現すれば医療費が14%削減されるという研究も発表されていると、現役医師によるメルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』が伝えています。徳田先生は、自身が財務大臣であったら、消費税増税の前に「砂糖税」や「加工肉税」を導入し、税収増と健康増進効果での医療費削減を図ると提言しています。

STAX…命を救う税金とは?

STAXは命を救う。STAXとは、Sugar, Tobacco, Alcohol, Taxという意味で、タバコ、酒、砂糖に課税するということ。健康に害を及ぼすものに課税をすると、消費を抑制して病気を予防できるので命を救うことができるのです。日本では、タバコと酒に課税していますが、外国と比較してまだまだ税率が低いので、十分な効果を享受できていません。日本はまた、砂糖にはまだ税金をかけていません。

そんななか、英国オックスフォード大学から、赤肉とその加工肉に税金をかけるとどうなるか、という研究論文が発表されました。赤肉(別名で赤身肉)は、哺乳動物の肉のこと。すなわち、牛豚羊馬ヤギの肉です。鳥や魚の肉は含まれません。その加工肉とは、ベーコン、ソーセージ、ハム、ハンバーグ、コーンビーフ、ポークランチョンミート(スパムなど)などの肉製品です。

世界保健機関はこれらの加工肉を「確実な発がん物質」と指定しています。その確実性はタバコやアスベストと同じ程度の確実性としています。これらを何年もたくさん食べていると、大腸がん、膵がん、胃がん、乳がん、などのリスクが上がります。世界保健機関は赤肉については「恐らく発がん物質」だろうと指定しています。牛豚羊馬ヤギの肉を何年もたくさん食べていると、上記のようながんのリスクが上がります。ステーキファンには耳の痛いお話かもしれませんが、これが現在のエビデンスです。

加工肉税の消費への効果

加工肉と赤肉の摂取は動脈硬化症や糖尿病との関連もあります。動脈硬化症は脳梗塞、心筋梗塞、下肢の動脈閉塞、大動脈解離、動脈瘤などの最も多い原因です。オックスフォード大学の試算では、加工肉と赤肉の摂取が原因となって起こる人々のがん、動脈硬化症、そして糖尿病などを世界全体で試算すると、2020年には2850億米ドルもの経済損失となるだろうと指摘しています。損失分のうち、約3分の2は加工肉です。

これらの食品に税をかけたらどうなるのかという試算では、経済的に適切な税率を用いました。これは、国民所得によって異なり、日本などの高所得国での税率は高くなります。平均でみると加工肉には25パーセントの税率が望ましいとされました。低所得国での税率は数パーセントでよいとされましたが、高所得国では100パーセント以上の税率がよいとされました。一方、赤肉への平均税率は4パーセントであり、低所得国での税率は1パーセント以下とされ、高所得国では20パーセント以上の税率がよいとされました。

では、その税効果はどう試算されるのでしょうか?これらの税制により、加工肉の消費は平均で16パーセント低下しますが、加工肉消費抑制の結果として、消費者が赤肉摂取に流れるために、赤肉の消費は課税にもかかわらずほぼ横ばい状態になると思われています。

加工肉税の健康への効果

さて、課税によって、加工肉のこのような消費低下は世界の人々の健康にどのような影響を与えるのでしようか。オックスフォード大の試算では、死亡者が9パーセント程度減るだろうと予測しています。実数では22万2千人です。主として、がんや動脈硬化による死亡が減るのです。そして医療費は平均で14パーセント減るだろうと予測しています。実数では410億米ドルです。このような恩恵は、低所得国より、日本のような高所得国で大きくなるだろうと試算されています。

日本人の死亡原因の1位はがん、2位は心臓病です。がんや動脈硬化症による死亡者が約10パーセントも減ることはとても大きな効果です。ところで、日本では来年から消費税が10パーセントに引き上げられることになっています。これに対していろいろな意見があると思います。税制は国民の健康も考慮すべきという観点からは、もっと工夫があってもよかったのではと感じます。

私が財務大臣であったなら(笑)、消費税増税は最後の手段とします。もともと消費税増税の理由は社会保障費中でも医療費の増大です。なので、健康増進につながる増税が理にかなうのです。まず、優先して行うべきは、タバコ増税、酒税増税、そして砂糖税の導入です。メキシコなどの国では砂糖税の効果が確認されています。

それでも医療費を賄うことができないということであれば、野菜と果物、無塩ナッツ、魚介類などの健康増進につながる食品には課税しませんが、世界に先駆けて、加工肉赤肉の課税を行います。今回政府は、外食を除く食料品は増税対象外としましたが、砂糖・加工肉・赤肉を含む食品には課税する、などのようなクールな健康メッセージを国民に伝えて欲しかったですね。

文献: ●Springmann, M. et al. Health-motivated taxes on red and processed meat: A modelling study on optimal tax levels and associated health impacts. PloS one 13 (11), e0204139, 2018

image by: Sergey Ryzhov, shutterstock.com

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