セブンイレブン転落の危機。24h紛争と改悪おにぎりセールで窮地

まぐまぐニュース! / 2019年3月15日 5時0分

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セブン-イレブン・ジャパンが、加盟店オーナーとの「時短紛争」やバイト炎上動画、さらには「おにぎり100円セール改悪」騒動などでブランドイメージ低下のピンチに見舞われています。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、「企業力の衰え」にその原因があるとしています。

セブン、「炎上動画」「24時間紛争」「おにぎりセール改悪騒動」から見えた業界首位転落の兆し

セブン-イレブン・ジャパンと大阪府東大阪市の加盟店オーナーが店舗の営業時間を巡って対立している問題が世間で注目を集めている。同オーナーは深夜に人手が確保できないとして、店舗の24時間営業をやめ、午前6時から翌午前1時までの19時間営業に変更したところ、それにセブン本部が契約違反にあたると指摘した。

世間からの批判もあり、セブンは直営店とフランチャイズチェーン(FC)加盟店で時短営業の実験を開始する方針を表明し、事態の沈静化を図った。午前7時から午後11時までの営業に切り替え、売上高や客数への影響をみる考えだ。

ただ、セブンは24時間営業の看板を下ろす気はないだろう。店を閉じる夜の時間帯の売り上げがなくなってしまうことに加えブランド力の低下などで店が開いている昼間の売り上げも下がってしまうためだ。しかも全店レベルで。

また、セブンは店舗への商品配送を深夜帯にも行なっているが、深夜帯の配送ができなくなってしまうと配送効率や作業効率が低下してしまい、それにより収益性も低下してしまうだろう。こうしたことから、24時間営業の看板を下ろすことのハードルは決して低くはない。

米国の無人コンビニ「アマゾン・ゴー」で使われているテクノロジーを活用するなどで省力化を図ったり外国人労働者を増加するなどで、将来的には深夜の人手不足が解消する可能性もある。そのため、セブンは40年以上掲げてきた24時間営業の看板を下ろすことはないと考える。

コンビニエンスストアにおける24時間営業を巡っては、ローソンが柔軟な姿勢を示している。3月7日に開いたメディア懇親会において、同社はFC店の要望に応じて営業時間の短縮を個別に認めるという従来の方針を維持することを表明したと複数のメディアが報じている。セブンが批判の矢面に立っている中で柔軟な姿勢を見せることで、ローソンのブランドイメージを高めたいとの思惑が透けて見える。

もっとも、ローソンは全国に約1万4,000店を展開しそのうちの40店で加盟店オーナーの意向で時短営業を認めているが、これはあくまで例外扱いで終日営業が原則という点は変わらない。

ファミリーマートは2017年から国内の一部店舗で営業時間を短縮する実験を進めている。ただ、本格導入には至っていない。

24時間営業の看板を下ろすとなると様々な問題が生じる。そのため、筆者はセブンが24時間営業の看板を下ろさないのはやむを得ないと考えている。ただ、「オーナーがかわいそう。セブンは時短営業を認めるべき」といったセブンに対して批判的な意見が世間では大勢だ。こうした声を無視はできないだろう。時短営業を認めるかどうかの判断が出るのは実験後となり少し先の話となるため、それまでに何かしらの対策を別に講じる必要はあるだろう。

おにぎりセール“改悪”問題を招いたもの

深夜の人手が確保できない問題は、ITを活用した省人化である程度は解決できる。アマゾン・ゴーのようなレジ業務の自動化に加え、ローソンが開発したホットスナックをほぼ自動で調理して提供するロボット「できたてからあげクンロボ」のようなロボットの活用などで省人化が可能だ。

ただ、コンビニ業界における省人化の取り組みは実験段階のものが多い。また、アマゾン・ゴーような大規模なシステムを全店レベルで運用することは簡単なことではない。数カ月という短い期間で導入・運用することは不可能だろう。そのため、短期的に効果が得られる別の施策が必要となりそうだ。

短期的には、店舗従業員の採用をサポートする施策が欠かせない。セブンは求人の応募を一括で受け付ける専用コールセンターを設置し、加盟店の求人のサポートを行なっている。ただ、それでも十分とは言えず、抜本的な解決には至っていない。こうした状況に加え大阪のオーナーとの問題もあり、別に大胆な施策が必要だ。例えば、本部の負担で10億円くらいかけて大規模な採用を行ってもいいだろう。人手不足を解消することに加えブランドイメージの低下を防ぐためにも、これくらいの投資をしてもいいのではないか。

セブンはこのこと以外にもブランドイメージが大きく毀損しかねない問題が立て続けに起きている。

まず不適切動画問題が挙げられる。アルバイト従業員が店頭で販売しているおでんのしらたきを鍋から取り出して口に入れて吐き出すというショッキングな動画がネット上で拡散し問題となった。問題を起こしたアルバイトの責任は重いが、一方でセブンの管理不行き届きを指摘する声が少なくない。どちらにも問題があるが、いずれにせよ、この“バイト不適切動画”問題によりセブンのブランドイメージは大きく低下してしまった。

マーケティングでの不手際による問題も起きている。おにぎりセール改悪問題がそうだ。

セブンは3月1~16日の午前4時~午前11時に、160円未満のおにぎりを2個200円で買えるセールを実施しているが、これに対して消費者から不満の声が上がっている。

セブンは以前に「おにぎり1個100円セール」を実施している。160円未満のおにぎりが100円、160円以上200円未満のものが150円になるセールを展開してきたのだが、「おにぎり2個200円セール」は2個買わなければ割引とならずかつ朝しか買えないため改悪になった」と消費者が不満の意を示しているのだ。

この問題を取り上げたニュースサイト「デイリー新潮」によると、セールが改悪になったと指摘する声が少なくないという。同サイトでは「いつものおにぎり100円セールに戻せ」といった消費者の怒りの声を紹介している。一方で、セブンからの回答として「100円セールをやめたわけではなく、今回は朝セブンとして別の企画」であることもあわせて紹介している。

なお、「朝セブン」とはセブンが17年3月から実施しているコーヒーとパンの組み合わせが午前4時~午前11時に200円になるといったキャンペーンのことで、この朝セブンに今回おにぎりを加えたというわけだ。

この意図を理解できないわけではない。しかし、一部の消費者はこれを改悪と捉え、ちょっとした騒動になってしまった。セブンの意図はどうあれ消費者がどう捉えるかが重要であり、今回のおにぎりセールの改悪はマーケティングの失敗といえるだろう。

企業力の衰えが原因か

この件だけでセブンのブランドイメージが大きく下がることはない。ただ、これがたまたま起きてしまった失敗ということではなく、セブンのマーケティング力の低下から起きてしまった失敗であるとすれば問題は深刻といえるだろう。マーケティング力が低下しているのであれば、今後も同様の失敗が起きないとも限らないためだ。同様の失敗が頻発してしまえばブランドイメージの低下は避けられないだろう。

おにぎりセール改悪問題や加盟店オーナーとの対立問題、バイト不適切動画問題といった企業の力が問われる問題がセブンでは頻発している。セブンの企業力が衰えているからこそ発生したと考えることもできる。いずれにせよ、これらの問題に対して対応を誤るようなことがあれば、深刻なレベルでブランドイメージが低下してしまうことになるだろう。そうなってしまえば、中長期的には収益の大幅な低下も避けられない。セブンは今、正念場にあると言えそうだ。

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