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声優・小林清志さんの「次元大介」につながる重要キャラたち ずっと流れてたテレビCMの声も

マグミクス / 2022年8月11日 14時30分

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■ルパンキャラにもっとも適任だったキャリア

 先日、声優の小林清志さんの訃報が発表されました。2022年7月30日に肺炎のため、鬼籍に入ったそうです。

 小林さんといえば、その代表作である『ルパン三世』の次元大介のことを思い出す人も多いことでしょう。最初に放送された1971年の第1作から2021年に放送された第6作まで半世紀にわたって演じてきた役ですので当然のことと思います。しかし、小林さんの演じてきた印象深い役は他にも多くありました。その演じてきた数々の魅力的なキャラたちを、次元の歩みと一緒に振り返ってみたいと思います。

 まだ声優という言葉が一般的ではない時代から役者として声の仕事をしていた小林さん。TVアニメの誕生期から色々な作品に出演していましたが、1968年に主演作ともいえるふたつの作品に出演しました。ひとつは『大魔王シャザーン』のシャザーン、もうひとつは『妖怪人間ベム』のベムです。小林さん35歳の時でした。

 シャザーンの魔法を使うときの掛け声「パパラパー」は、当時の子供がよく真似したセリフで、どんなピンチもものともしない頼もしいキャラというイメージです。ベムも、主人公のベロを見守る頼もしい存在という共通点がありました。「早く人間になりたい!」は、世代を超えて知られる名台詞となっています。両キャラとも、小林さんの父性あふれる温かさが声に宿っていました。

 もちろん年相応の父親的存在も魅力的でしたが、ドスの効いた強敵感あふれる役も演じています。それが『巨人の星』のアームストロング・オズマや、『タイガーマスク』のミスター・カミカゼといった主人公のライバル役も印象的でした。

 この流れで演じることになったのが『ルパン三世』の次元だったわけです。もっとも次元は、原作者であるモンキー・パンチ先生が映画『荒野の七人』に出演したジェームズ・コバーンをイメージしたキャラで、そのコバーンを持ち役としていたための指名でもありました。

 そういった点で当時の小林さんの存在感と、製作サイドの次元に対する認識が一致したことが起用の決め手になったのでしょう。それを証明するかのように、パイロットフィルム版から声優が変更になっていないのは次元役の小林さんだけです。それだけスタッフ満場一致の起用だったのでしょう。

 余談ですが、この『ルパン三世』の後番組だった特撮番組『超人バロム1』にも、主人公のひとり木戸猛の父親である木戸燐太郎という役で小林さんは出演していました。珍しい顔出しの役者としての仕事です。39歳だった頃の小林さんの動いている姿を見ることができました。

■次元の生き方と重なるダンディズム

「次元大介役の小林さん」のイメージをさらに強くした、『ルパン三世 PARTIII』Blu-ray BOX(バップ)

 この後、『ルパン三世』は1977年に第2作が制作されることになります。その理由は、再放送で人気が徐々に高まってきたからでした。この間の小林さんの代表作ですが、アニメよりも特撮番組での活躍が目立っていたと思います。

『宇宙猿人ゴリ』の宇宙猿人ゴリ、『快傑ライオン丸』のゴースン、『風雲ライオン丸』のマントルゴッド、『円盤戦争バンキッド』のグザレ司令といった敵の大ボス役を演じていました。威厳のある声は聞くものの背筋をピンっとさせる緊張感ただようものがあったと思います。

 それとは別に、この時代の小林さんの声をもっとも聞いたのはCMだったかもしれません。「わんぱくでもいい たくましく育ってほしい」という丸大ハムのCMは、当時の流行語にもなったもので、長期に渡って小林さんの声で流れていました。

 シリーズ最長の3年間で155話も製作された第2作は、もっとも有名なルパンシリーズとなります。そして、その人気の高さから再シリーズ化も早く、1984年に『ルパン三世 PARTIII』というタイトルで第3作は製作されました。この時の小林さんは51歳です。

 この当時の小林さんは「次元大介役の……」と言われるほど、次元が代表作であり、渋い演技がもっとも似合う年代だったかもしれません。そして、ナレーションでの出演が増えた時期でもありました。

 ナレーターとしての仕事はアニメだけでなく、『西部警察(シリーズ)』(1979~1984年)や『ナイトライダー』(1987~1988年)といったドラマ作品、特撮作品の『仮面ライダーBLACK』(1987年)などでも重低音で緊張感のあるシリアスな声を聞かせてくれています。

 もっともファンには『勇者王ガオガイガー』(1997年)のナレーションがもっとも印象的だったかもしれません。「君たちに最新情報を公開しよう」と「これが勝利の鍵だ!」は淡々と話しているだけなのにインパクトは絶大で、作品を象徴するセリフのひとつになっていると思います。

 そしてこの時期、『ルパン三世』のTVシリーズは長い休眠期に入りますが、1989年以降、約1年おきにテレビスペシャルが放送されるようになりました。この1年に1度の放送が『ルパン三世』の新しいスタンダードになっていきます。この時の小林さんは56歳になっていました。

 しかし、この期間に他のレギュラー陣は次々と交代し、第1作から残ったのは小林さんだけとなります。この同時期、初のスピンオフ作品となる『LUPIN the Third -峰不二子という女-』が2012年に放送開始。さらに第4作は2015年、第5作は2018年に放送されました。

 そして、不二子・銭形・五ェ門の声優が変更されて10年になる2021年に放送開始した第6作『ルパン三世 PART6』第0話となる「EPISODE 0 ―時代―」の出演を最後に、小林さんは長年演じてきた次元と別れることになります。

 勇退にあたって小林さんは、後任の大塚明夫さんと視聴者にメッセージを残しました。一部抜粋になりますが、「我儘を言えば90歳までやっていたかったが残念」と残しています。偶然とは思いますが小林さんは89歳で亡くなられました。つまり、もし望んで続けていてもその願いはかなわなかったかもしれません。

 この自分の死期を悟ったかのように後進へ道を譲る引き際の良さに、筆者は小林さんの中に次元のようなダンディズムを感じずにはいられません。あらためて小林清志さんのご冥福をお祈り申し上げます。

(加々美利治)

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