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斬新で謎まみれな朝のヒーロー『グリーンマン』 仏像? 中華の渦巻きマーク?

マグミクス / 2023年10月29日 8時10分

斬新で謎まみれな朝のヒーロー『グリーンマン』 仏像? 中華の渦巻きマーク?

■斬新だった朝の特撮ヒーロー

 小さい頃、朝は日本テレビ『おはよう! こどもショー』(1965~80年)内の「特撮ドラマ」を見てから学校へ行った人は多かったはずです。この番組からはいくつものヒーローが誕生していますが、第3弾の『行け! グリーンマン』(73年11月~74年9月、1回5分の週3回放送で1話完結)を憶えているでしょうか。

「これがヒーロー!?」と疑うようなその斬新なビジュアルは、特撮ファンから「トップクラスのバッドルキングヒーロー」と呼ばれるほどです。放送から50周年の今年、当時の思い出を回顧しながら、ネットニュースではなかなか取り上げられない、この『行け! グリーンマン』に迫ります。

 最大のポイントは、唯一無二の「デザイン」です。インパクトがハンパないその容姿は……土器か壺のようなものをかぶったような顔と頭、額にダイヤのように光る宝石、頭の角からは赤い毛が揺れています。全身の基調はグリーンで、胸にはラーメンの器の渦巻きマークみたいなデザインがありました。さらにグローブとブーツは銀色です。

 書籍「怪獣秘蔵写真集・造形師村瀬継蔵」では、造形を担当した「ツエニー(特撮作品などの造形制作の会社)」の社長・村瀬継蔵氏の実兄の継蔵氏は、「ラーメンの丼の模様がついていたり妙なデザインだと思ったが、兄貴が『これくらい派手なのがいいんだ』と言うので、僕も工夫して、当時珍しかった模造の宝石を多用してきらびやかに仕上げた」と語っています。

 確かに顔部分には、キラキラ光る装飾が多く見えます。とにかく派手にしたかったのでしょう。他ではやらないような、斬新なデザインに挑みたかったのかもしれません。

 また、グリーンマンは「神の化身」という設定で、このデザインは「東南アジアの仏像がモチーフ」だそうです。確かに口元の優しい笑みは「アルカイックスマイル(口元だけ少し笑む彫像表情)」を意識したのか、仏像的な雰囲気がうかがえます。ただ、頭部や顔のマスクのような部分に関しては謎です。何に似ているのか調べてみると、モンゴルか中国の古い冑飾りのようにも見えます。

■宇宙から来たロボット生命体!?

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『行け! グリーンマン』放送当時、筆者は友人と議論になったことがありました。争点は、「グリーンマンはロボットなのか!?」というポイントです。動きからして、誰が見ても「ウルトラマン的」な生物の雰囲気ですが、確かに敵が巨大化すると、グリーンマンも「グリーンマン・ジャイアントマシーン・チェーンジ!」と叫んで、巨大化して戦います。

「マシーン」と叫んでいますし、巨大化する際や技を出すときは、機械経路が動く映像のカットが入ります。胸から「グリーンマンブレスター」というミサイルを放ったり、膝部分がパカッと割れて矢のようなものが飛び出す「レッグアロー」という機械的な武器も使ったりしていたので、確かにロボットなのでしょうが、昔は違和感がありました(『ゴジラ対メガロ』に登場したジェット・ジャガーを思い出しました)。

 子供の頃は分からず、調べて初めて知りましたが、何を隠そう「グリーンマン」は金河系グリーン星から来たロボット生命体で、公害から地球の自然を守るためにやってきた、自称「神の使い」なのだそうです。「公害」という社会問題を背負っていたとは、思いませんでした。それに「ロボット生命体」とは何でしょうか。映画『ニューヨーク東8番街の奇跡』のUFOっぽい生命体でしょうか。

「おはよう! こどもショー」の特撮作品は、それ以前に『レッドマン』(1972年)、『行け! ゴッドマン』(1972~73年)が放送されており、ビジュアル的な格好良さは『グリーンマン』より上回っていたと思います。しかし、その2作の内容は、1回5分ということもあり、怪獣とだらだら戦うだけという少し味気ないものでした。

 そんな反省点から、第3弾『行け! グリーンマン』では少し物語性が加わります。「暗黒星雲から来た『魔王』という敵が、地底から復活するために子供の生き血を必要とし、部下に誘拐を命じる。立ちはだかるグリーンマンを倒すため怪獣を送り込む……」という基本的な設定と流れ、そして毎週3回目では巨大化して戦う、という部分が視聴者を引き付けました。

 とはいえ、「ツッコミどころ」は満載です。いつも公園で遊ぶ2、3人の子供たちを魔王の手下が襲います。小学生は叫ぶもののなぜか無声で、どう入手したのか分からない「グリーンマンコール」という装置を取り出して、グリーンマンを呼び寄せるのです。そして、グリーンマンは即登場します。

 このような細かいツッコミを入れたくなるのは特撮のお約束ですが、特にこの番組は、本編は2分30秒程度しかなくてあっという間に終わってしまうため、くどくどとナレーションで展開や心境を説明することはありませんでした。視聴者も慌ただしい朝に準備をしながら見ているので、設定などはほぼ気にしていなかったと思います。

 しかし、あまり単調すぎてもいけないので、敵の設定や子供の味方、巨大化といった「画変わり」を設けたのでしょう。さんざん言っている主人公の奇抜なビジュアルは、一周して不思議な人気(失礼)を呼び込んだように思います。

 子供の頃、朝に数分だけ応援できた『行け! グリーンマン』の記憶がよみがえりましたか? ちなみに「グリーンマン」のグリーンは、番組司会の海老名美どりさんから取ったものらしいです。

(石原久稔)

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