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『科学戦隊ダイナマン』の人気悪役「ダークナイト」登場から40年 戦隊のドラマを動かした「第三勢力」

マグミクス / 2023年11月19日 6時10分

『科学戦隊ダイナマン』の人気悪役「ダークナイト」登場から40年 戦隊のドラマを動かした「第三勢力」

■「第三勢力」は早くから存在するが、「ダークナイト」は斬新だった

 本日11月19日は、40年前の1983年に、『科学戦隊ダイナマン』第42話「挑戦ダークナイト」が放送された日。サブタイトルにもあるように、闇の使者ダークナイトが初登場したエピソードでした。

 ダークナイトとは、ダイナマンとジャシンカ帝国の前に現れた正体不明の戦士。この後のエピソードから第三勢力として物語に大きく関わっていきます。その戦闘力は高く、物語の終盤にはラスボスであるジャシンカの帝王アトンを単独で倒しました。

 その正体はアトンの実の息子であるメギド王子。ジャシンカの乗っ取りを企てていた女将軍ゼノビアの罠で幽閉されましたが自力で脱出、その復讐のためにダイナマンとジャシンカ双方に単身戦いを挑んだというわけです。

 このダークナイトの登場と暗躍により、本作終盤の物語は大きく動きました。それまでの「スーパー戦隊シリーズ」にもあった、第三勢力の登場により敵味方ともに大きなドラマが動き出し、連続ストーリーで最終回を迎えるというパターンに貢献したキャラクターがダークナイトです。

 しかし、このダークナイトはそれまでの第三勢力キャラと違った点がいくつかあります。それはデザインです。これは本作からデザインを担当した出渕裕さんによるものですが、ヒーローに近い整ったもので、単なる敵役というパターンとは一線を画していました。

 また、第三勢力と言っても急に現れたキャラではなく、物語最初からいたメギドである点も見逃せません。それまでの第三勢力キャラのパターンで言えば、前述のゼノビアがそれに当てはまります。このメギドが父であるアトンを倒して自力で王座に就くというドラマは、この後の「戦隊シリーズ」でもたびたび見る悪側キャラクターの成長を描くものでした。

 これはプロデューサーである鈴木武幸さんが、本作で挑んだアニメテイストの導入が要因かもしれません。もともとメギドはアニメ作品でいうところの美形キャラとして設定されました。これにより戦隊メンバーと同年代の敵キャラという新しい要素が本作に加わったわけです。

 途中から登場した王女キメラもそのテイストを受け継いだキャラでした。最後にはメギドとふたりでジャシンカを背負って立つことになるというドラマは、悲劇的に終わるものの悪側の成長ドラマを子供番組という枠で見せることに成功します。

 完全な余談ですが、『ダイナマン』の放送当時、同時期に放送していたアニメ『聖戦士ダンバイン』に登場した黒騎士とダークナイトの共通点を指摘するファンも一部にいました。地方によっては番組が連続して放送されていたこともあって、あくまでもシャレの一環として取り上げられていたのでしょう。

■さまざまなパターンでシリーズを盛り上げた第三勢力

『ダイナマン』の人気悪役、ダークナイトを立体化した、「ダークヒーローコレクション/ダークナイト」(バンダイ)

 前述しましたが、「戦隊シリーズ」では、たびたび第三勢力の登場が大きなドラマを生んできました。そのほとんどが戦隊にとって相いれない敵が増えることでしたが、敵同士のつぶしあいによる戦力の削りあいもあって、結果的に戦隊の知らないところで大きく物語が動き出すことになります。

 この第三勢力の台頭と言えば、元祖はやはり『電子戦隊デンジマン』(1980年)に登場した「バンリキ魔王」でしょうか。結果的に当初の敵であったベーダー一族を乗っ取ってラスボスになります。強烈な個性を持った印象的な悪役でした。

『太陽戦隊サンバルカン』(1981年)に登場した「イナズマギンガー」も第三勢力として強大な力を持った敵です。しかし、その力を利用して機械帝国ブラックマグマを乗っ取ったのは、前作『デンジマン』でのリベンジを果たしたヘドリアン女王でした。もっとも、ふたりとも結果的にブラックマグマの真の支配者だった全能の神によって非業の死を遂げます。

 次回作となる『超電子バイオマン』(1984年)では「バイオハンター・シルバ」と、その愛機である巨大ロボ「バルジオン」が登場しました。ダークナイト同様に出渕さんによるデザインで人気も高く、近年には戦隊シリーズの悪役では珍しく商品化されています。

 商品化されたと言えば、『五星戦隊ダイレンジャー』(1993年)における第三勢力だった「大神龍」は異質な存在でした。大神龍は宇宙の秩序を守る存在で、悪といえる存在ではありません。しかし、その力は絶大で、その怒りを収めるために敵味方の間で前代未聞の休戦協定が結ばれたほどです。

 第三勢力が戦隊側になった例として、『忍風戦隊ハリケンジャー』(2002年)が挙げられるかもしれません。この作品に登場した「電光石火ゴウライジャー」は当初は第三勢力として暗躍、その後に敵である宇宙忍群ジャカンジャと手を組みますが、最終的にはハリケンジャーの頼れる仲間となりました。

 このパターンのように合流せず、最後まで一定の距離を保ったのが『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018年)の両戦隊です。お互いにギャングラーという仇敵に対して協力することもありましたが、基本的には敵対する相容れぬ存在でした。その点では特異な作品だったと思います。

 近年では第三勢力だけで収まらずに、敵対勢力が多く存在した『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』(2022年)もありました。さまざまな勢力が入り乱れる中、当初の敵である「脳人三人衆」が、終盤ではドンブラザーズ入りするという展開を見せます。

 このように第三勢力の存在がドラマを大きく動かすのが、「戦隊シリーズ」の持ち味なのかもしれません。それは平成以降の「ライダーシリーズ」が、それぞれの正義によってドラマを動かそうとする手法と似て非なるものでしょう。あくまでも善悪という基準の中で、第三勢力という見せ方に徹しているからだと思います。

(加々美利治)

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