40周年『星雲仮面マシンマン』 実は多かった少女ファンが「キュン」とした要素とは?
マグミクス / 2024年2月4日 10時10分
■危険を顧みず子犬を助ける好青年にキュン
1984年1月13日にスタートした特撮ドラマ『星雲仮面マシンマン』(日本テレビ)は、先日40周年を迎えています。「X」では「#40周年マシンマン」に、たくさんの書き込みが寄せられていました。そのなかには女性ファンの声もたくさんあったのですが、実は本作は当時の特撮ヒーローとしては珍しく小学生の女子ファンが多い番組だったそうです。今回は「マシンマンの女子がキュンとしたポイント」を振り返ります。
『星雲仮面マシンマン』は、スーパー戦隊シリーズ、宇宙刑事シリーズが好調だった東映が第3のシリーズ化を狙って製作した作品です。激しいアクションとコメディタッチで、人気は上々でした。
あらすじを振り返りましょう。『星雲仮面マシンマン』の主人公「ニック」はアイビー星の大学生で、卒論を書く目的で地球を訪れます。1週間の滞在予定でしたが、女性カメラマン記者の葉山真紀と出会って彼女に好意を抱きました。そして、科学で子供をいじめる組織「テンタクル」の悪事を戒めるため、ニックは高瀬健と名乗り主に真紀を守るために敵と戦います。
●OP映像でキュン!
本作は特撮番組であり、基本は男子が見る作品でしたが、年が近い姉や妹が一緒にTVを見ていたのが人気のきっかけになったのでしょう。第一のインパクトは、毎週流れるOP曲の映像にありました。
高瀬が車が行き交う道路へひらりと飛んで、路上をさ迷う子犬を助けるのです。そして腕に抱えた犬にほほ笑みかけたところに、テロップ「マシンマン・高瀬健/佐久田脩」と出ます。視聴者には、優しさと勇気を持った好青年とその役者名までが一瞬でインプットされました。「ここがキュンポイントだった」という女の子は多かったようです。
主演俳優・佐久田脩さんは当時24才でした。19才のときSPドラマ『野菊の墓』(テレビ朝日)で、主演・山口百恵さんの相手役を演じて注目を浴びます。そして初めての主役が「マシンマン」でした。キリッとしたイケメンというより素朴な学生という顔立ちで、だてメガネを掛ける設定もヒーローとしては珍しく、親近感が沸いたのかもしれません。
■一番大事なことは、美しい心を持つことだ!
●口が見えてキュン?
OP「星雲仮面マシンマン」、ED「おれの名はマシンマン」、どちらも作曲は『ルパン三世』で知られる大野雄二先生。画像は『星雲仮面マシンマン』レコード(日本コロムビア)
低予算だったからか、マシンマンが身にまとう「ウォーリアスーツ」のデザインはスタイリッシュとは言いがたい出来でした。マントは透明のビニール、胸には妥当な「M」の文字、しかも仮面マスクは「口元が見えるタイプ」でした。
口が見えるヒーローは生身の人間感が出て不評を買うケースも多いのですが、実は逆にここがキュンポイントだったようです。顔のアップもあったので、佐久田さんは変身後もアクターを務めて、簡単なアクションシーンを演じていました。ですからファンは、変身しても「高瀬」を認識できたのがうれしかったそうです。
●強さと一途な男らしさにキュン?
マシンマンは、テンタクルが起こす悪事に巻き込まれた子供を助けますが、本当の目的は、スクープを取ろうと事件に首を突っ込んで危険な目にあう「大好きな真紀を守るため」です。つまり特撮の王道である「平和を守る」という概念はほぼありません。実はこの「大好きな人を守るだけ」という、一途な男らしさも「キュンポイント」でした。
●悪人へのやさしさにキュン?
マシンマンは敵の戦闘サイボーグは撃破しますが、洗脳された悪人には「カタルシスウェーブ」というエネルギーを照射し、人間の悪い心を善に変えます。悪人は正気を取り戻し、二度と悪いことをしないと反省するのでした。例えば、悪事を働いた女性をマシンマンが諭した、こんなシーンがあります。
マシンマン「何の目的で子供たちの顔にいたずらをしたんだ!」
女性「私、いつも自分の顔がイヤでイヤで、人がいつも私の顔を見て笑っている気がして。それで仕返しに子供たちのことをいじめてたの」
マシンマン「キミの顔を見て笑う者はひとりもいない、キミがそう思っているだけだ。人間は顔じゃない、一番大事なことは、美しい心を持つことだ!」
このセリフにキュンときた女の子は多かったでしょう。このように、悪者も傷付けず改心させて倒す「カタルシスウェーブ」は、特撮ファンのあいだで「最強の技」と推す人も多いようです。
『星雲仮面マシンマン』は、全36回の放送で終了します。今回は女子人気の裏側を紹介しましたが、アクションや必殺技もカッコよくてもちろん男子にも人気絶大でした。平均視聴率は9.65%とまずまずの結果を残しましたが、局の看板になるほどのシリーズには成長しませんでした。
女子の心をキュンとさせ、コアなファンが多かった「マシンマン」こと佐久田脩さんは、時代が時代ならヒーロー役から火が点いてアイドル的人気になっていたかもしれません。その後も、役者・ナレーター・声優として活躍しましたが、残念ながら2020年12月に62才で亡くなられています。
(石原久稔)
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