【漫画】うっかりミスでやらかす日々…ADHDグレーと診断されたママ「対策方法が分かった!」【作者インタビュー】
マグミクス / 2024年2月10日 20時50分
■「ADHDあるある」への対策を分かりやすく解説
2児の母、はなゆいさん(@hanayuistudio)は、日々の「やらかし」の多さに困っていました。スマホがない! 今度は鍵がない! 約束の時間が3時だと思ったら13時だった、子供の遠足の日を忘れていた……など、気を付けているつもりでも、忘れ物や間違い、勘違いなどのうっかりミスが頻繁にあり、「私っておかしいのかな?」「子供のためにも変わりたい」と思い悩んでいました。ある日、テレビで聞いた「ADHDの特徴」が自分に当てはまり、検査を考え始め……。
はなゆいさんの初の書籍『ただのぽんこつ母さんだと思っていたらADHDグレーでした。』が2024年1月15日に発売されました。ADHDとは注意欠如・多動症とも呼ばれる発達障害の一種で、不注意(集中力が続かない)、多動性(待つことができない)、衝動性(落ち着きがない)などの特徴によって日常生活に困難が生じている状態をいいます。
本書の第1章では、はなゆいさんがADHDの検査を受けるために心療内科を訪れるまでの葛藤と、先生との対話のなかで自身の特性を理解していく過程を、そして第2章では日常生活における「困りごと」への具体的な対策が分かりやすく描かれています。「私は私を理解して楽しく生きる」とコメントしているように、「自分の扱い方」を笑いも交えて前向きにまとめたコミックエッセイで、同じように困っている人にぜひ読んでもらいたいとのことです。
作者のはなゆいさんに、お話を聞きました。
ーー『ただのぽんこつ母さんだと思っていたらADHDグレーでした』のマンガを描こうと思ったきっかけを教えて下さい。
診断を受けたあと、仲の良いママ友たちにADHDグレーだったという話をした際に、どんな検査をするのか、どういう病院に行ったのか、自分も勘違いが多くADHDかもしれないと悩んでいるなど、思いのほかたくさんの反応がありました。
本にも記載しているのですが、私は日常生活でうっかりミスが多くて、そのたびにいろんな人に助けてもらって何とかなっていました。周りに助けられ続けてきた私ができることとして、自分の経験を本で紹介することで、参考にしてもらえて、微力ながらお役に立てるのではないかと思い、執筆することにしました。
2024年1月15日に発売された『ただのぽんこつ母さんだと思っていたらADHDグレーでした。』 (C)『ただのぽんこつ母さんだと思っていたらADHDグレーでした。』 (はちみつコミックエッセイ)
ーー以前からうっかりミスや物忘れが多かったとのことですが、生活するうえでどのようなことに困難を感じていましたか?
ひとつずつは困難というのもはばかられるほどささいなことで、たとえば、誤字脱字する、メール送信時の宛先間違い、待ち合わせ場所の勘違い、予約の日付間違いなど、それぞれ誰しもが過去にやったことがあることだと思うのです。
ただ、これらの頻度やこれらが時に連動してコンボして巻き起こる謎の現象(笑)もあり、そういったことで、全体として見た場合のマグニチュードが他人とは違うのではないかと内心思っておりました。ただ、ほかの人からは、個々の事例を「点」で見ると大した問題でないように見えたと思います。
ーー受診を決めるにあたってはお子様の存在が大きかったようですが、受診するまでの葛藤など、当時のお気持ちを改めて教えて下さい。
メンタルクリニックに行くということは何となく大げさと感じていました。自分の困りごとも、ひとつずつはとてもささいなこと(うっかりミスや物忘れ)で、誰にでも起こることだとも思います。それでもそういった自分のぽんこつミスやうっかりが積み重なってきて、何か周りの人と違うなと感じるようになっていました。
そんな時期に、娘に自分と似た特性が備わっている部分を認識してからは、自分がそうだったように娘のつまずきポイントも分かるがゆえに、娘の理解者になりたい、でもどう振る舞えばいいか、それを学ぶためにもちゃんと自分と向き合うべく、クリニックへ行ってはっきりさせようという思いでした。
ーー「ADHDグレー」と診断されたときは、どのようなお気持ちでしたか?
クリニックでの診察を通して、ADHDなのかそうでないかについて白黒はっきりさせることよりも、困りごとについてどう対策を取るかが重要だと理解するようになりました。クリニックへ行って、ADHDではありませんよといわれたところで、自分のうっかりミス、勘違いなどによって自分が感じている不便さは何も変わりません。なので結果がどうであれ、困りごとの対策なんだなと思うようになりました。
あと、診断の過程で、誤字脱字が多い、約束の場所や時間を勘違いする、やっていることを邪魔されるとカッとなる、人の話に被せて話してしまう……などなど、自分の個性だと思っていたことが「ADHDあるある」だということが分かりました。拍子抜けした気持ちとともに、個性が強いタイプと思っていたぶん(笑)、若干寂しいような複雑な思いでした。
ーー『ただのぽんこつ母さんだと思っていたらADHDグレーでした』で、具体的な対策をマンガに描くうえで工夫なさったこと、心がけたことなどはありますか?
「困りごと‐原因‐対策」をセットで表現するようにしました。たとえば、効率化しようとしていろんなことを並行して進めようとすると、結果、一番重要なことを忘れてしまうという「困りごと」があります。「原因」は脳のワーキングメモリという記憶のお皿が小さいことです。その「対策」は、複数をいっぺんに進めちゃダメで、ひとつずつ確実にこなすことが私の特性には合っている、というように、できるだけ「どうしてそういうミスをしちゃうのか」の背景もお伝えするようにしました。
あとはできるだけ分かりやすくということで、たとえば、ADHDの診断で心理検査をするシーンがありますが、その心理検査で分かる能力の種類が4つあります。「知覚推理」「ワーキングメモリ」「言語能力」「処理速度」というのですが、この4つが専門用語で耳慣れない言葉もあって、これらを初めてざっと読み進めても分かりやすいように、表現は何度も見直しました。
私自身、専門用語が入ってくると話が入ってこなくなってしまうので、書籍のなかでは、車の機能にたとえて、「知覚推理」って車でいうヘッドライトだよ、「ワーキングメモリ」って車の運転手だよ、という具合に、理解しやすいように、専門用語が読み進めるなかでのスピードを妨げないようにと、試行錯誤をしました。
ーー『ただのぽんこつ母さんだと思っていたらADHDグレーでした』をどのような方に読んでもらいたいですか?
日常生活でささいなうっかりミスや勘違いが多いと思っている方、ミスした自分を責めてしまっている方などにぜひ読んでいただきたいです。私は人より得意、不得意の差が大きいことが分かりました。それによって生きづらさを感じている部分もありますが、何が不得意かを認識することで一定のライフハックによって改善できることもあります。そんな自分を受け入れる過程や、私の笑える(?)ぽんこつ失敗談を見ていただきたいです。
(マグミクス編集部)
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