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『超電子バイオマン』40周年 後の戦隊を導いた「ターニングポイント」とは?

マグミクス / 2024年2月4日 6時10分

『超電子バイオマン』40周年 後の戦隊を導いた「ターニングポイント」とは?

■『超電子バイオマン』で女性戦士がふたりになったワケ

 本日2月4日は、1984年にスーパー戦隊シリーズ第8作となる『超電子バイオマン』の放送が始まった日です。本作は視聴者層の拡大を狙って、それまでのシリーズになかった新機軸を導入した意欲作でした。その取り組みについて振り返ってみましょう。

 もともと本作の企画当初には、「男性5人のみの戦隊」というアイディアがあったそうです。振り返れば、シリーズ第5作『太陽戦隊サンバルカン』も、3人ながら男のみの戦隊でした。『サンバルカン』は作品的にも人気のある戦隊で、男だけの戦隊でも問題ないと思ったのかもしれません。

 これに待ったをかけたのが、東映の鈴木武幸プロデューサーでした。男だけではドラマが作りづらいからというのが理由です。そして鈴木プロデューサーの出したアイディアが、「女性戦士がふたり」というものでした。

 この提案には、反対意見も多かったようです。本作のメイン視聴者層は男児であり、女性を増やすのはマイナス要因となると考えたからでしょう。しかし、これまでになかった女性戦士ふたりによるドラマが作れるという利点がありました。こうして実験的に、女性戦士がふたりという戦隊が誕生します。

 これに応じて、挿入歌「セクシャル・レディ」が作られました。女性戦士の歌としてインパクトがあり、人気の高い曲です。また、戦隊シリーズのオモチャとしては異例の、イエローフォーとピンクファイブの着せ替え人形「バイオガール」という商品も販売されました。

 結果的に、この女性戦士がふたりというフォーマットは好評を得ます。翌年から継続されていることからも、それがわかるでしょう。しかも、好評すぎて次回は「女性戦士5人の戦隊」という意見も出たそうです。冗談のような話ですが、翌年の1985年には実写ドラマとして「スケバン刑事」が放映開始されていますし、そういった時代の風潮もあったのかもしれません。

 このように、本作はいくつかの新機軸を導入しています。

・80年代に入りシリーズが1年ごとに新作に切り替わるスタイルが確立されて以降、はじめて「戦隊」という名前を外したタイトル

・オープニングのタイトルコールで戦隊名をフルネームで叫ぶ

・個人の名乗りを省略してスピーディーなものにする

・毎回、異なる必殺技を使用する

・各戦士に戦隊名を入れずに、色+ナンバーというシンプルなものにする

 などです。

 そして、作品として大きな変更点のひとつが前後編を多用したことでしょう。これまでのシリーズではクライマックスは連続ストーリーになっていましたが、1話完結が基本でした。そこでドラマ重視のストーリーものを何度か組み込んだわけです。これには、前作から放送時間が短くなったことも起因していました。

 他にも新機軸はありますが、もっとも変わった部分というと敵側組織「新帝国ギア」のフォーマットでしょうか。その変更点は、いまだに戦隊シリーズ全47作で唯一の例となっています。

■敵組織のリニューアルで新たな見どころが増えたロボ戦

「スーパーミニプラ 電子合体 バイオロボ (2個入) 食玩・清涼菓子 (超電子バイオマン)」(バンダイ)

 本作で変更されて唯一の特徴となった部分、それはこれまでのゲスト怪人にあたる「メカジャイガン(後半はネオメカジャイガン)」が、すべて巨大な存在という点でした。そして逆に怪人にあたる「ジューノイド」が、レギュラーとなります。

 これまでのフォーマットではゲスト怪人が巨大化するか、ゲスト怪人と同じ形をした巨大ロボが登場することがパターン化していました。これは製作費の関係上、仕方のないことです。もちろん、パターンにとらわれない巨大ロボが登場することもありましたが、あくまでもゲスト扱いでした。毎週、新しい巨大ロボが登場するパターンは、以降の戦隊にもないフォーマットだったのです。

 このゲスト枠が巨大ロボになったことで、怪人枠にあたるジューノイド5獣士(後半からはジューノイド3獣士)がレギュラーとなりました。これは当時としては斬新な変更点で、おかげで敵側キャラクターに新たな魅力が与えられます。

 また、レギュラー化でジューノイドたちが個性的な怪人となったことも大きなポイントでした。通常なら1体しか出ない怪人が、時には集団で現れるからです。劇場版はその点が秀逸でした。戦隊風に名乗りを上げるジューノイド5獣士のシーンは、とても好評だったことを覚えています。

 これら敵側キャラクターデザインのほとんどは前作から引き続き、出渕裕さんが担当していました。出渕さんのシャープなデザインは好評で、対象の子供たちはもちろん、高い年齢層のアニメファンにも興味を持たせるきっかけとなります。

 こういった魅力ある敵と戦うことで、本作の巨大ロボ「バイオロボ」の魅力も引き出されたのかもしれません。考えてみれば、戦隊シリーズでもっとも重要視される商品は戦隊側の巨大ロボで、毎回敵が変わっていくロボ戦の盛り上げは必要不可欠です。その点からも、この新機軸は理にかなっていると言えるでしょう。

 前述したように、バイオマンと同じく多彩な必殺技を持つバイオロボのアクションは、自由度の高いものでした。さらにトリコロールカラーが多い戦隊ロボのなかにあって、黒、赤、白のカラーリングは異彩を放ち、ジェット機同士の合体も戦隊初となっています。ちなみに販売売り上げは、当時の戦隊シリーズでは最高を記録しました。

 このように、いくつかの新機軸を取り入れた意欲作だった『バイオマン』が切り開いた新展開が、後々のシリーズにも受け継がれていきました。そう考えると、本作を戦隊シリーズのターニングポイントと位置付ける人は少なくないでしょう。

(加々美利治)

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